中国の出版文化は古代からずっと続いてきたものであるが、今回の講義では明代・清代の出版・印刷文化についてであったので、授業でも最後のほうにとりあげられていた帯図本(挿絵本)と套印本(彩色本)について調べ、自分なりにまとめてレポートとして提出することにした。
帯図本とはその名の通り図像を付した本のことで、いわゆる絵入り本のことである。授業の際には図像本・挿図本として扱われていたように思う。本の中に絵を挿入するといったことは、実はまだ印刷の行われていなかった時代からすでに行われていたようである。帯図本というのは、挿絵のある書物のことであるが、書物に絵図を挿入することは、まだ印刷の行われなかった以前からすでに行われていた。清の葉徳輝は、その例証を『書林清話』(巻8)に挙げている。(『図説中国印刷史』より引用)特に、仏教関係の経典などが先駆けとなって帯図本の普及に貢献していたようである。仏教関係の経巻では、前に挙げた敦煌出土の咸通9年刊印『金剛般若波羅蜜経』巻首の釈迦教主説法図に見るように、唐代の印刷に早くから帯図の工夫がなされていた。
中国における帯図本と套印本について
中国の出版文化は古代からずっと続いてきたものであるが、今回の講義では明代・清代の出版・印刷文化についてであったので、授業でも最後のほうにとりあげられていた帯図本(挿絵本)と套印本(彩色本)について調べ、自分なりにまとめてレポートとして提出することにした。
帯図本とはその名の通り図像を付した本のことで、いわゆる絵入り本のことである。授業の際には図像本・挿図本として扱われていたように思う。本の中に絵を挿入するといったことは、実はまだ印刷の行われていなかった時代からすでに行われていたようである。帯図本というのは、挿絵のある書物のことであるが、書物に絵図を挿入することは、まだ印刷の行われなかった以前からすでに行われていた。清の葉徳輝は、その例証を『書林清話』(巻8)に挙げている。(『図説中国印刷史』より引用)特に、仏教関係の経典などが先駆けとなって帯図本の普及に貢献していたようである。仏教関係の経巻では、前に挙げた敦煌出土の咸通9年刊印『金剛般若波羅蜜経』巻首の釈迦教主説法図に見るように、唐代の印刷に早くから帯図の工夫がなされていた。(中略)こうした仏教...