不揮発性有機毒物の分離と確認
今回の実習の初期条件
救急で運び込まれた患者Aさんの胃内容物の調査を依頼された。胃内容物はろ過後、不揮発性物質を取り除いた(中略)。これを試料溶液とするが、この試料は既に酒石酸で酸性状態にしてある。
目的
試料に含まれている複数の有機毒物を分離操作することで、それぞれを単離析出させ、標品と比較し化合物を同定する。
実験操作
①分離漏斗で、試料(ろ液、酒石酸酸性)約25mLからジエチルエーテルで抽出(25mL×3回)した後、水層とエーテル層に取り分けた。
②このエーテル層から1%NaOHで抽出(15mL×2回)した後、水層とエーテル層に取り分けた。
③このエーテル層を飽和食塩水で洗浄(15mL×2回)した後、無水硫酸Naで乾燥させた。溶液をろ過し、エバポレータで濃縮乾固した。これを画分Aとした。
④②で得た水層を10%HClで酸性にした後、ジエチルエーテルで抽出(20×3回)し、水層とエーテル層に取り分けた。
⑤このエーテル層を無水硫酸Naで乾燥させた後、溶液をろ過し、エバポレータで濃縮乾固した。これを画分Bとした。
⑥①で得た水層を10%NaOHでアルカリ性にした後、ジエチルエーテルで抽出(20×3回)し、水層とエーテル層に取り分けた。
⑦このエーテル層を無水硫酸Naで乾燥させた後、溶液をろ過し、エバポレータで濃縮乾固した。これを画分Cとした。
以上の分離操作から得た各画分には、抽出前の溶液のpHから、
画分A…中性物質
画分B…酸性物質
画分C…塩基性物質
がそれぞれ含まれていることになる。
1.バルビツール酸系催眠薬の検出と確認
目的
疑わしい酸性物質と定性試験を行うことで分離した試料の同定を行う。なお、同定に使う試料は画分B(酸性物質)を用いた。
実験操作及び結果
a)検出
①硝酸コバルト試薬による反応
試料に1%硝酸コバルトメタノール溶液と1%水酸化カリウムメタノール溶液を1滴加えた。
画分A,B,C=緑白色
フェノバルビタール、バルビタール、へキソバルビタール=青紫色
②銅・ピリジン試薬による反応
試料をピリジン・クロロホルム(1:9)の混液1mLに溶かし、更に1%硫酸銅液1mLを加えて良く振った。
画分A,B,C=紫色を示さない。
フェノバルビタール、バルビタール、へキソバルビタール=紫色
b)確認試験―薄層クロマトグラフィー
薄層プレートに以下の標準液等をスポットし風乾した。
①フェノバルビタール ②バルビタール
③試料(検体を少量のアセトンに溶かしたもの)
④ヘキソバルビタール
展開溶媒(2-プロパノール-クロロホルム-25%アンモニア(45:45:10))が上端に達するまで展開した。展開後溶媒を風乾し、検出試薬(銅ピリジン試薬)を噴霧した。
試料だけでなく標準品も反応しなかった。
考察
TLCでは、展開溶媒に各標品が浸かってしまったため、上手く展開ができなかった。しかし、検出試験でも反応が得られていないことからA画分に試料があった可能性は低いと思われる。実験結果報告後、バルビツールが含まれていることを知らされた。このことから、分液の時に上手くエーテル層に洗い込めていなかったことになり、水層(2)にイオン型のバルビツールがいたことになる。事前の液性を変える時に十分に酸性になっていなかったことが失敗の原因だと考えられる。
2.ブロム尿素系催眠薬の検出と確認
目的
分離した検体を反応や薄層クロマトグラフィーによって確認する。なお、同定に使う試料は画分A(中性物質)を用いた。
実験操作と結果
(
不揮発性有機毒物の分離と確認
今回の実習の初期条件
救急で運び込まれた患者Aさんの胃内容物の調査を依頼された。胃内容物はろ過後、不揮発性物質を取り除いた(中略)。これを試料溶液とするが、この試料は既に酒石酸で酸性状態にしてある。
目的
試料に含まれている複数の有機毒物を分離操作することで、それぞれを単離析出させ、標品と比較し化合物を同定する。
実験操作
①分離漏斗で、試料(ろ液、酒石酸酸性)約25mLからジエチルエーテルで抽出(25mL×3回)した後、水層とエーテル層に取り分けた。
②このエーテル層から1%NaOHで抽出(15mL×2回)した後、水層とエーテル層に取り分けた。
③このエーテル層を飽和食塩水で洗浄(15mL×2回)した後、無水硫酸Naで乾燥させた。溶液をろ過し、エバポレータで濃縮乾固した。これを画分Aとした。
④②で得た水層を10%HClで酸性にした後、ジエチルエーテルで抽出(20×3回)し、水層とエーテル層に取り分けた。
⑤このエーテル層を無水硫酸Naで乾燥させた後、溶液をろ過し、エバポレータで濃縮乾固した。これを画分Bとした。
⑥①で得た水層を10%NaOHでアルカ...