~他の言語における敬語~
日本人で韓国語を習っている人や韓国人で日本語を習っている人は、文法的に、日本語と韓国語は似ているというが、両者間には基本的な違いがある。それは自分の身内で目上の者に関することを相手に述べる場合、日本語ならば謙譲語を使用することになるが、韓国語の場合は尊敬語を使用する。日本語の敬語は、場面や人称の相互関係で変わるのに対して韓国語の敬語は、場面や人称に関係なく、一定の敬語で言い表せる。日本語の敬語が「相対敬語」といわれるのに対して韓国語後の敬語が「絶対敬語」といわれるのはそのためである。などと教科書などには載っているのに対し、英語については教科書等に詳しく敬語の記述が載っているのを見たことがない。
日本語を習う欧米人は、日本語を習う際に敬語が難しいと言うが、日本人が英語を習う際に敬語が難しいという話は聞いたことがない。確かにアメリカ人が日本語を習う際に敬語が難しいと言うという話はよく聞く話である。それは一般的に欧米諸国では上下関係がなく、敬語が存在しないという理由からだと考える人も多いだろう。しかし、欧米諸国にも間違いなく上下関係は存在し、敬語表現は存在する。そして、英語を何年もかけて習ってきたつもりでいる私たちは、敬意表現を忘れ、ずいぶん無礼なことをいっている場合も少なくないと思われる。例えば、日本人の学生が外国人のプロフェッサーに留学に必要な推薦状を書いてもらうのに、「 I want you to write a letter of recommendation . 」と文法的に誤りのないこの聞き方でお願いした場合、恐らくプロフェッサーは気分を害するであろう。それは、ぶっきらぼうな命令口調であったからだ。「 I realize you are very busy , but I would like to write a letter of recommendation for me . 」と、本題に入る前にクッション言葉を補うだけでとても柔らかく、誠意のこもった表現になります。日本語のように語尾などが変わるわけではないが、このように英語にも敬語表現というものが存在する。クッション言葉を置くことや、同じ意味の単語のニュアンスの違いなどを敬意を払う相手と、そうではない相手とで使いわけるのだ。私自身、海外に住んでいた経験を持つが、ある店に一角で、現地に住む、の英語が母語ではない店員が、英語を母語とする客に対して、礼儀のない言い回しの英語で客の気分を損ねたという光景を何回か見たことがある。また、何かを尋ねる場合のみならず、お礼を言う場合でも、「Thank you .」と淡白に言うのではなく、「I am sorry that I asked you to do this on such short notice . I really appreciate your taking time .」と言う言い回しをすることによって、全く違う印象を受けるであろう。英語における敬意表現は日本語で言う丁寧語のような使い方であり、話し手によってかなりの違いが出てくることが、これらの例によってわかるだろう。敬意表現を間違えてしまうと、どんなに文法的に正しかろうが、どんなに綺麗な発音で英語をしゃべろうが、コミュニケーションを取る上で、ギャップを生み出してしまう恐れが出てくる。
遠まわしな表現、英語で言うなら「Beat around the bush .」も効果的であることが少なくないのだ。例えば、ホテル滞在中の出来事で、ホテルに戻ってシャワーを