デカルトは、アルキメデスが地球全体を動かすために求めた不動の点のような、学問における堅固な基礎を獲得するために、従来、知識の基礎と考えられてきたものに対して懐疑理由を挙げながら、それを排除していく。「学問において何か堅固でゆるぎないものをたてようと欲するなら、一生に一度は、すべてを土台から覆して、最初の基礎から新たに始めなければならない」という。
方法的懐疑
デカルトは、アルキメデスが地球全体を動かすために求めた不動の点のような、学問における堅固な基礎を獲得するために、従来、知識の基礎と考えられてきたものに対して懐疑理由を挙げながら、それを排除していく。「学問において何か堅固でゆるぎないものをたてようと欲するなら、一生に一度は、すべてを土台から覆して、最初の基礎から新たに始めなければならない」という。この懐疑が目指すのは、すべての懐疑を超えたところで確実な知識の土台をすえることである。そのための方法としての懐疑であり、単なる懐疑主義と区別され、方法的懐疑と呼ばれる。そして、この懐疑の過程は同時に認識に関わる諸能力の批判的吟味でもある。方...