ウクライナ危機に関するブックレポートです。評価はAです。以下の3つの文献を比較して執筆しました。
① パスカル・マルシャン(2017)『地図で見るロシアハンドブック』原書房
② 保坂三四郎(2016)「ウクライナにおける地域ファクターと歴史観―「ユーロマイダン革命」以後の社会調査データをもとに―」『ロシア・東欧研究』2016 巻 45 号 pp. 119-134
③ 現代ビジネス、ウクライナ危機はなぜ終わらないのか〜欧米vsロシア、相容れない「正義」の論理https://gendai.ismedia.jp/articles/-/48606 (2021年7月27日参照)
最初にタネンの「THAT’S NOT WHAT I MEANT!」を要約し、それをふまえ自分で調査したデータを書くことにする。相手に意思を伝える場合、messageやmetamessageが使われる。会話にははっきりdirect(clear)に伝える方法と、礼儀正しくindirect(polite)に伝える方法がある。Politeの示し方として、タネンは ?押し付けないこと、?選択肢を与えること、?相手に友好的に接しいい感情を与えること をあげている。中でも??はnegative politenessを示し、相手の意思を尊重することを重視している。(=indipendence)また、?はpositive politenessを示し、他人の領域にどんどん踏み込んでいこうとするものである。(=involvement)そしてindipendenceとinvolvementの両方を満たそうとするとdouble bindが生ずると言っている。会話のシグナルはどのような話し方をするかにより示され、involvementとindipendenceの調整も必要となってくる。今日多くの人々はindirectnessを誠実とみなしている。その原因として会話の基礎であり、metamessageを含んでいるからである。Indirectressの利点としてself-defenseとrapportをあげている。言い方の種類として、ironyやsarcasm、figure of speechがある。Ironyは例えばジョークも含まれており、同じ価値観を共有していることを証明することにより、親密性が高まるという信頼のmetamessageに基づいている。会話をなかなかdirectにできない理由は、正直に応答しても無限の側面を持ち、時には他人を傷つけ、また異なる会話スタイルを持った人に違う解釈を与えるといった欠点を持つからである。そのためindirectnessが好まれるが、時に言葉少なで意図を伝えようとするため、必然的に誤解の可能性が生じてくる。それは会話の前提をうまく共有できず困惑したり、非難したりしてしまう危険性のことである。
「L’Ennemi」(一部)
Charles Baudelaire
Ma jeunesse ne fut qu’un tenebreux orage,
Traverse ca et la par de brilliants soleils;
Le tonnerre et la pluie ont fait un tel ravage,
Qu’il reste en mon jardin bien peu de fruits vermeils.
(訳)
「仇敵」
私の青春は暗い嵐に他ならなかった
輝く太陽の光があちらこちらに差している、暗い嵐
雷と雨はあまりにも荒廃をもたらしたので
私の庭にはもんのわずかな赤い果実が残っているだけだ
授業で扱ったボードレールの「L’Ennemi」を取り上げました。この詩は音節と脚韻による技法が使われていて単語が響きあい、音、意味が浮かび上がってくる効果を出しています。
詩の内容は自分の暗い青春時代のことが書いてあり、義父と不仲で、大学を退校処分になったのちに家族と別れ、放蕩生活を送り、実父の財産を使い尽くし、自殺未遂にまで到るボードレールの実感があらわれています。「輝く太陽の光」「赤い果実が残っている」などのわずかながらに希望の光が見える記述も見受けられるが、題名からして「仇敵」であり、詩から滲み出てくる雰囲気は暗いものとなっています。そして、この続きの詩を読んでみると、最終章は次のようになっています。(*永井荷風『珊瑚集』より抜粋)