まず「制度の持続可能性」について、給付の効率化、重点化が謳われている。高齢化社会の進行とあわせ、利用者の権利意識の向上により、サービスの過剰利用が問題視されている。結果、制度の安定化を図ろうという事だが、現行サービスの給付制限や保険料の増加は、将来を見据えれば避けて通れないであろう。あわせて、施設サービスにおける介護給付を「介護」の分野に絞り、自己負担を強いることで、在宅生活者との負担割合の不均衡を改善しようとする試みも注目したい。
介護保険制度の施行から5年が過ぎ、改正法案が国会で成立、一部は今秋に施行され、居宅サービスにおいては、来春の施行に向け、準備が進められている。もともと、経過措置との問題も含め、5年後の見直しを前提に始まった制度であるが、5年でここまで大きく変わるのは、行政の見込み違いであると共に、社会構造の変化というべきであろう。
そもそも、介護保険制度導入前の老人福祉を見ると、それは「措置制度」という社会福祉と「医療保険」の分野を利用した老人保健制度で賄われてきた。しかし、両者の縦割り制度は、内容、費用負担と共にバランスの不均衡を招いてきた。また、社会保障の面から「措置」という考えは、高齢者にとってステ...