平成12年11月20日に、児童虐待の防止に関する法律「児童虐待防止法」が施行され、各自治体においても虐待防止に向けた様々な取り組みが行われているが、児童虐待の相談処理件数は、平成11年度11631件であったのに対し、平成15年度においては26569件と2倍以上に増加している。また、最近では新聞やTVでの報道等にも取り上げられるような、死亡に至るような重篤な事例もあり、このような事例のデータを元に考察し、児童虐待における現状と問題点を踏まえ、今後の国の施策の方向性についてまとめ、以下に意見を述べる。
「児童虐待死亡事例の検証と今後の虐待防止策についての報告(平成16年2月27日)」によると、平成15年6月末までに厚生労働省が把握している125件(127人死亡)の虐待死亡事例について、被虐待児の年齢構成は、0歳児37.8%、次いで1歳児が15.7%、2歳3歳児ともに12.6%と全体の約8割を占め、幼稚園入学頃の4歳児から割合は減少傾向となるが、就学前までの6歳未満児が全体の約9割を占めている。また、虐待者を見てみると、実母によるものが53.8%と半数を超え、次いで実父によるものが18....