子どもの「不適応行動」について述べなさい。

閲覧数25,802
ダウンロード数28
履歴確認

    • ページ数 : 8ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

     子どもの「不適応行動」について述べなさい。
     不適応について述べる前に、まず「適応」とは何か。適応とは人が環境との間で調和の取れたよい関係を保っている状態をいう。常に適応している状態にあることが理想であるが、現実にはさまざまな問題や困った事があり、工夫したり努力しても、欲求が満たされなかったり、まわりとうまく関係を保っていくことができなかったりすることがある。このように適応できない状態が続くと、不安を感じたり、攻撃的になったり、さらには身体に不調が現れることがある。そして、さらに強いストレスや改善困難な状況に置かれ、その人の耐えうる能力を超えてしまうと、精神的あるいは身体的に好ましくない状態を引き起こし、適切な対処行動がとれなくなる。この状態を「不適応」(適応障害)という。適応障害の状態になると、仕事や学業を継続することに困難を生じたり、情緒的に混乱したりする。不適応は、一般に年齢が低いほど環境の要因が強く、青年期では環境と個人のパーソナリティとが複雑に関係しあい、さらに青年期以降では個人のパーソナリティが強く影響する。不適応状態に陥っている青年期の子どもの支援には、学校や家庭、友人関係などの環境要因の調整や改善を図ると同時に、個人のパーソナリティ要因への配慮を図ることが必要となってくる。
    近年大きな問題になっている「不適応行動」といわれる子どもたちの問題行動には「校内暴力」、「いじめ」、「不登校・登校拒否」、「ひきこもり」などがある。それらについて下記に説明する。
    ①校内暴力
    校内暴力といわれる行動には、生徒が教師に暴行を振るう「対教師暴力」、生徒同士内の暴力沙汰である「生徒間暴力」、それに学校内の施設・整備・備品などを壊す「器物損壊」、の3種類がある。これらを合わせた校内暴力事件は、中学校の場合、93年度は全国の中学校の13,5%にあたる1285校で発生している。
    ②いじめ
    いじめには大声で悪口を言う、仲間はずれにする、など教室で行われる陰湿ないじめもあるが、近年、金を脅し取る、売春を強制する、などの恐喝まがいのいじめもあり、大きな社会問題となっている。
     「いじめ」も重大な教育問題であることは言うまでも無い。それは単に、いじめの被害者に不当な苦痛を与えるという点で問題があるだけではなく、教育の部分的な失敗(欠陥)を意味することでもあり、さらには、教育が前提にする人間関係の歪みを示すという点でも、重大な教育問題であるといえる。
    ③不登校・登校拒否
    不登校・登校拒否というのは、文部省の定義によれば「学校嫌いを理由として年間50日以上欠席した児童・生徒」をいう、とされている。病気・病弱のための欠席とか、家庭の事情上欠席したという場合には、これに該当しない。
    特に不登校・登校拒否が多いといわれる中学生の場合を数字で見ると、93年で49212人と、5万人の大台に近づこうとしている。小学生も93年度には11469人を記録している。中学生の場合、全生徒の1,01%、小学生の場合0,13%にあたる。
     ④ひきこもり
     「ひきこもり」はまだ新しい概念であり、明確な診断基準が定まっていない。しかし、ひきこもりとは病名ではなく、以下のような症状を指すものである。①自宅や自室に閉じこもり、社会参加の機会を持たないこと、②10代後半から20代全般の青年期にみられること、③ある一定の期間持続し、生活が変化しないこと、④こうした症状が精神疾患によるものではないこと、である。
     ひきこもりには対人関係の問題が中心にある。ひきこもり状態にある彼らは、他人や家族と接すること

    タグ

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

     子どもの「不適応行動」について述べなさい。
     不適応について述べる前に、まず「適応」とは何か。適応とは人が環境との間で調和の取れたよい関係を保っている状態をいう。常に適応している状態にあることが理想であるが、現実にはさまざまな問題や困った事があり、工夫したり努力しても、欲求が満たされなかったり、まわりとうまく関係を保っていくことができなかったりすることがある。このように適応できない状態が続くと、不安を感じたり、攻撃的になったり、さらには身体に不調が現れることがある。そして、さらに強いストレスや改善困難な状況に置かれ、その人の耐えうる能力を超えてしまうと、精神的あるいは身体的に好ましくない状態を引き起こし、適切な対処行動がとれなくなる。この状態を「不適応」(適応障害)という。適応障害の状態になると、仕事や学業を継続することに困難を生じたり、情緒的に混乱したりする。不適応は、一般に年齢が低いほど環境の要因が強く、青年期では環境と個人のパーソナリティとが複雑に関係しあい、さらに青年期以降では個人のパーソナリティが強く影響する。不適応状態に陥っている青年期の子どもの支援には、学校や家庭、友人...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。