学校文法では、付属語(助詞、助動詞)は「語」ということになるが、これには問題があるとする立場もある。「語」をめぐるいろいろな考え方を調べてみよう。
・山田孝雄
『日本文法論』より「単語とは言語に於ける、最早分つべからざるに至れる究竟的の思想の単位にして、独立して何等かの思想を代表するものなり」
これから、山田孝雄は単語を思想上の単位としてみていることが分かる。また、『日本文法法学要論』では「思想上の単位」と「言語上の単位」を区別している。「梅の花」は思想上では1単位であるが、言語上では「梅 の 花」という3単位であるとするものである。語の研究は、分析的研究より出発すべきものであるため、「単語」、つまり究極の言語上の単位をもって研究上の出発点とすべきである、と説いている。文法全般において、言語の意味の面を重視し、いわば内容主義的見地から論じている。
・橋本進吉
「語」の分類は外形的に「文節の構成のしかた」という点からなされる。つまり、文節はさらに意味を有する言語単位である「語」に分解できるが、それ以上分解できない文節は、ただ1つの語から出来た文節だといえる。すなわち、「語」には単独で文節...