「学習指導要領の変遷について。」
学習指導要領とは、文部科学省が作成する文書で、小中高校及び養護学校などの教育内容と教育課程の要領・要点を記したものである。
最初の学習指導要領は、昭和22年の『学習指導要領・一般編(試案)』である。アメリカの各州ごとの教育課程ともいうべきコース・オブ・スタディを参考にしてつくられたと言われている。教師のための「手引書」として作られ、授業の際の参考にすべきものと考えられており、「試案」の文言が付されていた。内容としては、それまでの修身・歴史・地理の代わりとして「社会科」、「家庭科」(小学校で男女共修)、「自由研究」、中学校では「職業科」が設けられた。全教科とも生活単元学習・問題解決学習によるものであった。 その後昭和26年の改訂では、それまでの教科課程に代わって教育課程という用語が使われるようになり、「自由研究」が「教科外の活動」(小学校)、「特別教育活動」と「保健体育」「職業・家庭科」(中学校)となった。これにより、教科と特別教育活動の2領域となる。
昭和33年の改訂時からは「試案」の文字が消え、「文部省告示」として全文が官報に登載されるようになった。そして従来、すべての学校生活で行われた道徳教育がそれだけでは不十分とされ、小・中学校で「道徳」の時間が特設された。これには戦前の修身教育の復活として多くの人々が反対した。高校では「倫理社会」が必須科目となり、小・中学校の教育課程は「教科」、「道徳」、「特別教育活動」と「学校行事等」の3領域で構成されるようになる。また、生活単元学習、問題解決学習から系統的な学習へと変換が図られ、道徳教育、基礎学力充実、科学技術教育、能力・適性に応ずる教育が重視されるようになった。
道徳教育についてはまず「総則」において、「学校における道徳教育は、本来、学校の教育活動全体を通じて行うことを基本とする」ことや、「道徳教育の目標は、教育基本法および学校教育法に定められた教育の根本精神に基く」こと、さらに道徳の時間においては「道徳的実践力の向上を図る」ことを明記している。道徳の時間の具体的目標は、基本的行動様式、道徳的心情・判断、個性伸長・創造的生活態度、民主的な国家・社会の成員としての道徳的態度、の4つに分けて示された。
「試案」から「告示」への転換によって、学習指導要領の法的拘束性と教育内容への国家的基準性が文部省側から強調されるようになる。これは教育内容上の拘束にとどまらず、発行された各教科及び道徳、特別教育活動の指導書などを通じて、教師の教材選択の自由や教育方法にまで拘束を強めるものとして機能してゆく。これ以降、日教組や民間教育研究諸団体による教育課程の自主的民主的編成の運動が強化されていった。この「道徳」の特設、「告示」としての性格の付与などによって、この改訂は戦後の教育課程に重要な転機をもたらした。
昭和43~45年改訂では、教育内容の現代化が図られ、理数重視の教育課程となり、小学校で集合・関数・確率の追加、中学校では授業時間を週1-2単位増加された。これにより教育内容の肥大化と、学習についていけない児童・生徒が続出し、「落ちこぼれ」「落ちこぼし」や「校内暴力」の問題が出てくる。また、「能力・適性」の名の元に選別教育を強化し、中学校では数学、理科、外国語で能力別指導が可能になり、高校ではコース制、選択科目の多様化が得導入された。
小・中学校のカリキュラムは「各教科」「道徳」「特別活動」の3領域から、高校は「各教科・科目」「各教科以外の教育活動」の2領域から構成され、小学
「学習指導要領の変遷について。」
学習指導要領とは、文部科学省が作成する文書で、小中高校及び養護学校などの教育内容と教育課程の要領・要点を記したものである。
最初の学習指導要領は、昭和22年の『学習指導要領・一般編(試案)』である。アメリカの各州ごとの教育課程ともいうべきコース・オブ・スタディを参考にしてつくられたと言われている。教師のための「手引書」として作られ、授業の際の参考にすべきものと考えられており、「試案」の文言が付されていた。内容としては、それまでの修身・歴史・地理の代わりとして「社会科」、「家庭科」(小学校で男女共修)、「自由研究」、中学校では「職業科」が設けられた。全教科とも生活単元学習・問題解決学習によるものであった。 その後昭和26年の改訂では、それまでの教科課程に代わって教育課程という用語が使われるようになり、「自由研究」が「教科外の活動」(小学校)、「特別教育活動」と「保健体育」「職業・家庭科」(中学校)となった。これにより、教科と特別教育活動の2領域となる。
昭和33年の改訂時からは「試案」の文字が消え、「文部省告示」として全文が官報に登載されるよう...