施設で用いられる個別援助技術(ケースワーク)について述べよ。
1.ケースワークの概要
個別援助技術は、援助者が利用者それぞれの生活問題に応じた個別の対応を専門援助として行う方法のことをいう。
「ケースワークの母」と呼ばれ、個別援助技術の語源であるケースワークという言葉を最初に用い、その考え方を明確にしたのはM.リッチモンドである。彼女は、『ソーシャル
・ケース・ワークとは何か』を著し、そのなかでケースワークを「ソーシャル・ケース・ワークは人間とその社会環境との間を個別に、意識的に調節することを通して、パーソナルティを発達させる諸過程からなっている」と定義した。
これから述べていくケースワークの過程や原則は、施設においても応用されて用いられている。それを一般に「ケースワーク的処遇
」と呼ぶ。
2.ケースワークの過程
①インテーク
インテークは本来、受け入れるという意味をもつ。問題の概要と性格及び内容を的確に把握し、援助の適合性を判断する場面である。
②アセスメント
アセスメントは、問題解決に対する援助を始めるにあたっての事前評価である。この事前評価では、資料の収集と分析を行う。
③プランニング
プランニングは、援助の具体的方法を選定し、実施計画を立て、当面の目標を設定する作業である。
④インターペンション
個別援助技術の目的は、利用者のパーソナリティを変革することではない。最近では利用者の生活を重視する立場から、援助の実施を「介入」と呼ぶことが多くなってきている。
⑤モニタリング
モニタリングは、計画された援助が効果を上げているか判断し、新たなアセスメントやプランニングにつなげていく作業である。
⑥ターミネーション
利用者が提起した問題が上記のような過程を経て問題解決が達成され、もはやこれ以上援助を必要としないと援助者や利用者が判断した場合、終結段階を迎える。
3.ケースワークの原則
ケースワークを適切に行うためにもっとも重要なことは、ケースワーカー(援助者)とクライエント(利用者)との信頼関係である。
援助者が利用者との信頼関係を築くためにとるべき基本的態度について、アメリカの社会福祉研究者P.バイステックは、七つの原則をあげており、現在も広く採用されている。
①個別化の原則
クライエントは、生育歴やパーソナリティ(個性)が一人ひとり異なっている。援助者は、このことを十分理解し、それぞれの個人の必要に応じた援助をする必要がある。
②意図的な感情表出の原則
利用者には、常に人間としてのプライドと感情があるという認識に立ち、本人の感情をありのままに表現することを容認し、プラスの感情だけでなく、マイナスの感情の表現を促すことが大切である。
③統制された情緒的関与の原則
利用者は、面接を重ねるごとに、つらさ、憤りなど、さまざまな感情をあらわすようになる。そのとき援助者は、その感情表現の意味をよく理解し、問題解決のために適切に反応することが要求される。
④受容の原則
利用者は、これまでの人生を自分なりに生きてきた。援助者は、このことを理解し、利用者がどのような問題をもっていても、そのことへの道徳的批判などをするのではなく、利用者の人間性のすべてをあるがままの現実として、そのまま受け入れる必要がある。
⑤非審判的態度の原則
利用者の価値観や生き方により問題が複雑になっていたとしても、援助者は自らの価値観や倫理的判断によって、利用者の行動や態度を批判したり何かを強制したりしてはならない。
⑥自己決定の原
施設で用いられる個別援助技術(ケースワーク)について述べよ。
1.ケースワークの概要
個別援助技術は、援助者が利用者それぞれの生活問題に応じた個別の対応を専門援助として行う方法のことをいう。
「ケースワークの母」と呼ばれ、個別援助技術の語源であるケースワークという言葉を最初に用い、その考え方を明確にしたのはM.リッチモンドである。彼女は、『ソーシャル
・ケース・ワークとは何か』を著し、そのなかでケースワークを「ソーシャル・ケース・ワークは人間とその社会環境との間を個別に、意識的に調節することを通して、パーソナルティを発達させる諸過程からなっている」と定義した。
これから述べていくケースワークの過程や原則は、施設においても応用されて用いられている。それを一般に「ケースワーク的処遇
」と呼ぶ。
2.ケースワークの過程
①インテーク
インテークは本来、受け入れるという意味をもつ。問題の概要と性格及び内容を的確に把握し、援助の適合性を判断する場面である。
②アセスメント
アセスメントは、問題解決に対する援助を始めるにあたっての事前評価である。この事前評価では、資料の収集と分析を...