施設養護の機能と内容について述べよ。
1.はじめに
児童養護施設をはじめとする入所型の児童福祉施設は、働く職員にとっては職場かもしれないが、子ども達にとっては、正に「生活の場」である。したがって、生活指導や教育といった施設養護の機能や内容は、施設の日課や毎日の日常生活を通じて発揮されることになる。
児童の対象は乳幼児から18歳まで、また障害の種類や程度、問題内容などさまざまな年齢と発達レベルがある。そのため。個々の児童にあてはめた発達課題の発見と理解が求められる。特に、0~18歳までの児童は、その人格形成上もっとも重要な発達時期に入所生活を送ることから重視されるべきである。
児童の側に立った理解と指導が求められる中、生活指導では、児童の性格、発達段階、能力、学力、家庭環境などの問題への対応が、日常生活過程の中で接続的に求められる。そして、そこには専門的知識と技術に裏打ちされたものが要求されるのである。
2.施設養護の目的
施設養護の機能や内容の端的なものは、生活指導や教育である。その主なねらいや目標は次の通りである。
(1)情緒の安定
温かく受容し、ふれあいを深めながら自信を回復させて、児童本来の姿に戻すことにある。精神的ダメージや心の葛藤への働きかけと家庭の雰囲気づくりが大切である。
(2)身体的成長と健康を守り育てること
健康であるときはじめて心身ともに健やかな成長がのぞめる。保健衛生と安全対策には万全を期すことが必要である。
(3)精神的自立
未来に向って児童が自分のもてる力を出して前に進めることが大切である。具体的には、自分の精神的充実をめざし、究極的に社会的存在へと成長することである。
(4)基本的生活習慣の形成
基本的生活習慣とは、食事・排泄・睡眠・衣服(着脱衣)・清潔である。児童の年齢に応じた基本的生活習慣の確立により、生活行動の進展をはかることが大切である。
3.施設養護の機能と内容
先に述べたように、施設養護の機能と内容とは、毎日の日常生活の中で行われる生活指導や教育である。次に、具体的な項目を取り上げて、養護内容をまとめていく。
(1)食事
食事は身体の発達を促進するものであり、十分なカロリーと適切にバランスのとれた栄養の摂取が必要である。そして、人間にとって行動のエネルギーでもある。
食事は、これらの生命の維持と身体的発達に必要欠くことのできないものであるが、それとともに食べることは喜び、満足感といった楽しい経験の一つでもある。人間にとって食事とは、生命維持だけでなく、情緒安定をもたらすものでもある。
食事の配慮で必要なことは、一人ひとりにあった栄養バランスや食べる環境などである。施設の場合、集団給食が多いが、小グループに分けて職員と児童が同じテーブルを囲んで、みんなで楽しく笑いのある食事にする。そのときに時間に追われてしまい、早く食べた子が誉められる傾向がある。そのようなことがないように、献立の内容を幼児向き、学齢児向きに質、量とも区別したり、どの子どもに対しても平等にすることである。
また、楽しい食事には食べ物だけでなく、食器も重要である。食器を一緒に選んで買いに行くなどして、自分の気に入った物にすると、ますます食事が楽しくなってくる。さらに、きれいなテーブルにお花をそえたり、清潔さを保った食事環境にも留意しなければならない。
(2)衣服(着脱衣)
衣服は防寒や保温だけではなく、肌着、ねまき、衣類など、児童の体格にあったものを選ぶ。施設では、児童の好みや個性を無視した衣類を一括購入したり、着
施設養護の機能と内容について述べよ。
1.はじめに
児童養護施設をはじめとする入所型の児童福祉施設は、働く職員にとっては職場かもしれないが、子ども達にとっては、正に「生活の場」である。したがって、生活指導や教育といった施設養護の機能や内容は、施設の日課や毎日の日常生活を通じて発揮されることになる。
児童の対象は乳幼児から18歳まで、また障害の種類や程度、問題内容などさまざまな年齢と発達レベルがある。そのため。個々の児童にあてはめた発達課題の発見と理解が求められる。特に、0~18歳までの児童は、その人格形成上もっとも重要な発達時期に入所生活を送ることから重視されるべきである。
児童の側に立った理解と指導が求められる中、生活指導では、児童の性格、発達段階、能力、学力、家庭環境などの問題への対応が、日常生活過程の中で接続的に求められる。そして、そこには専門的知識と技術に裏打ちされたものが要求されるのである。
2.施設養護の目的
施設養護の機能や内容の端的なものは、生活指導や教育である。その主なねらいや目標は次の通りである。
(1)情緒の安定
温かく受容し、ふれあいを深めながら自信...