家庭環境がつくる
児童虐待の可能性
Ⅰ 背景・意義
現在、深刻な児童虐待事件があとを絶たず、より踏み込んだ虐待対策が必要とされるとの社会的認識が高まっている。厚生労働省の「児童相談所で取り扱った相談ケースのうち、虐待として処理したケース」の調査によると、児童相談所における虐待の相談が著しく増加している、という結果がでている(下図)。しかし、この統計は実際に行われている児童虐待の氷山の一角に過ぎない。表面化した件数に比べて、実際の数は
家庭環境がつくる
児童虐待の可能性
Ⅰ 背景・意義
現在、深刻な児童虐待事件があとを絶たず、より踏み込んだ虐待対策が必要とされるとの社会的認識が高まっている。厚生労働省の「児童相談所で取り扱った相談ケースのうち、虐待として処理したケース」の調査によると、児童相談所における虐待の相談が著しく増加している、という結果がでている(下図)。しかし、この統計は実際に行われている児童虐待の氷山の一角に過ぎない。表面化した件数に比べて、実際の数は10倍程度存在すると考えられる。この数字通りに実際に子どもの虐待が増加しているとは限らないが、近年の経済不安、都市化や核家族化の進行などによる社会的孤立やそれに伴う育児不安を背景として虐待に関する相談が増えていることは確かである。
このような状況を打開するため、私達は、誰もが持ち最も身近な組織である家庭に注目して、児童虐待に対する研究を早くから進めていくきっかけとなりたいと考えた。
Ⅱ 既存研究
言葉の定義
経済不安 :現在得ている収入からの減少をさし、低収入とは異なる。
児童虐待 :私達のグループでは、児童の身体に外傷が生じる、または生じる恐れのある暴...