監視社会の象徴として挙げられるものが、防犯カメラである。カメラを「意識する」ことによって、見られている人は "自制心の敷居値" を十分高く保つことができるのである。人は他者から監視されていると思うと、自ら思う方向に自らを律する動機が無意識のうちに発生する。これを利用して「犯」罪を「防」ぐのだ。
「監視社会と防犯カメラ」
この数年、Nシステムなどのために、あらゆる場所に設置されたデジタル監視カメラ、住基ネットにおける個人情報の一元的管理、国際的監視システムであるエシュロン、サイバー犯罪条約におけるコンテントデータ、トラフィックデータのリアルタイム収集、WEBを利用する際のクッキー、スパイウェアによる個人情報の収集など、個人を監視・追跡できるような技術が問題とされている。つまり、我々は常に監視される状況の中で生活しているのだ。安全と利便性の為に、個人情報は益々、ある機関によって収集され利用される。それは、すなわち「監視社会」の入り口なのである。今後、ますますその傾向は強くなるだろう。
IT社会の進展は、おそらくこれからも続くであろう。そして、個人に関する情報は、企業、自治体をはじめとする様々な組織によって集められていくことはほぼ間違いないと思われる。情報技術の活用によって、企業は新しい市場を開拓し、新たなサービスを我々に提供していく。行政は電子政府化を目指し、効率性の実現を踏まえて、高度に住民が参画する社会への発展を遂げようとしている。官民問わず、ITを駆使した利便性の高い社会へ...