大腿骨頸部骨折(外側)、Gamma locking nail術後の後療法について
Ⅰ.老人の骨折
老人の骨折は骨粗鬆症が背景にあり、比較的小さな外力で発症し、成人の骨折とは多くの点で異なる。治療法としては上肢の骨折は出来るだけ保存療法を、下肢の骨折は出来るだけ早期離床を図るために積極的に手術を行なっている。老人は出来るだけ歩行能力の維持に努める。関節周囲の骨折が多く、関節機能の障害が起こりやすい。特に関節固定により容易に関節拘縮、筋肉の萎縮、褥瘡などを生じやすい。そしてその回復が遅くなるので、長期間の外固定は慎まなければならない。また、老人の骨折は骨皮質が薄く、外力が小さい割に骨折すると粉砕されて骨欠損が大きく、解剖学的な整復が困難なことが多い。あまりに局所にとらわれず関節の機能障害を最小限にするように心がける。老人は全身的合併症を多く持っている。合併症のコントロールも大切で、場合によっては合併症の治療が優先されなければならない。
Ⅱ.大腿骨頸部骨折
大腿骨頸部骨折は高齢者に多くみられ、骨粗鬆症が深く関係し、ささいな転倒が骨折を引き起こす...