1. 言語障害の種類
言語障害といっても、その内容はさまざまである。神経症候として重要なのは構音障害dysarthria、anarthriaと失語「症」aphasia、dysphasiaである。この両者は必ず鑑別すべきものである。構音障害というのは、発語に関係する神経や筋肉の障害によって起こり、うまくしゃべれないということである。患者自身は言葉の理解も正常で、いうことも、考えていることも正常であるが、思うように発語できない。書字、読書に関しては異常がない。声帯の障害で声が出ないのを失声aphoniaという。一方失語「症」は、発語に関する筋や末梢神経には異常がなく、知能や意識の低下もなく、聴力の障害もないのに言語による表現や文字の理解ができないものをいう。
その他、意識は清明で、構音障害と失語「症」もないのに全くしゃべらないのを無言「症」mutismという。ヒステリーなどの精神障害者にみられる。また眼を開いているが、全く無言で、随意運動もせず横たわっている一種特有な意識障害の状態を無動性無言「症」akinetic mutismといい、網様体賦活系の部分的障害などによって起こる。
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