二つめのポイントは「就労支援の抜本的強化」である。現在、養護学校卒業者の55%は福祉施設に入所し、その後、就労を理由とする施設退所者はわずか1%と、養護学校卒業者の約半数は、福祉施設に入所することを余儀なくされています。現状を改善すべく新たな就労支援事業の創設と雇用施設との連携の強化をこの法律では掲げている。
三つ目のポイントは「利用者本位のサービス体系に再編する」ということである。以前の法律では障害者種別ごとに複雑な施設・事業体系があった。そして入所期間の長期化などにより、本来の施設目的と利用者の実態とが隔離されるという問題も抱えていた。そこで、33種類に分かれていた施設体系を6つの事業に再編。あわせて規制緩和を進め既存の社会資源を活用しながら「地域生活支援」「就労支援」のための事業や重度の障害者を対象としたサービスを創設することにしたのである。
四つ目は「公平なサービス利用のための手続きや基準の透明化・明確化」である。以前の法律には全国共通の利用ルール(支援の必要度を判定する客観的基準)がなく、支給決定のプロセスも不透明であった。今回、支援に必要度に関する客観的な尺度(障害程度区分)を導入し、審査会の意見聴取などの支援決定プロセスを透明化した。
平成17年10月31日、第163回特別国会の衆議院本会議において障害者自立支援法案が可決・成立した。この法律は、先の第162回通常国会で衆議院通過後、国会の解散により廃案となったが、第163回国会において、①第1条の目的規定に「障害者基本法の基本的理念にのっとり」の文言を追加する、②附則第3条の検討規定に「障害者等の範囲」について検討する旨を明記し、「障害者等の所得の確保」に係る検討規定を追加する、③施行日を平成18年1月1日から平成18年4月1日に変更する、などの修正を加えたうえで再上程され、上記の通り10月31日に可決・成立し、11月7日に公布された。なお法案の可決にあたり、衆議院厚生労働委員会では、23項目にわたる附帯決議が付されている。
障害者自立支援法は、すべての人々が人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指すものであり、そのために必要なさまざまな施策を実施するものである。具体的には、障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する観点から、これまで障害者種別ごとに異なる法律に基づいて自立支援の観点から提供されてきた福祉サービス、公共負担医療等について、共...