パリに写真を取り戻しに来たのだが、ミイラ取りにミイラのマネキンのモデルをさせられたり、覗き部屋でイマージュに興奮したりするが、それらは「イマージュ」の枠を抜け出さず、自分もそこに到達することができないことを知る。
また、タイトルでもある「黄金のしずく」は、オアシスの結婚式で出会った踊り子の首飾りの宝石で、それを彼女の「シーニュ」として持っていたのだが、それを娼婦に寝取られてしまった。そしてその「黄金のしずく」はあくる日、ショーウィンドーの中で、「イマージュ」として飾られていた。
ミシェル・トゥルニエ 「黄金のしずく」 に関するレポート
サハラ砂漠のオアシスに生きる少年イドゥリスが、フランスからやってきた金髪の美しい女性に生まれて初めて写真(「イマージュ」)を撮られる。彼女はイドゥリスに、写真を送ることを約束したが、写真は送られてこない。「写真を撮られることで魂が抜かれる」と噂され、イドゥリス自身がその写真を取り戻すため、パリに出向く。そこで彼は、西欧世界が見ている砂漠の「イマージュ」が、現実に彼が生きていた世界とは違っていることを知る。西欧から見た砂漠の「イマージュ」は、例えば冒険としての砂漠であったり、それと対称的に歓楽溢れる癒しのオアシスのホテルだったり、そうした...