「義務教育を問いなおす」
1.課題図書「義務教育を問いなおす」(藤田 英典 著 ちくま新書 2005)の構成と内容
本書は序章と終章を含めた7章で構成されている。
序章では、本書の主題でもある現在の義務教育とその改革にて発生している問題について挙げられている。日本の義務教育の揺れは1980年の「ゆとり教育」政策の開始から始まった様々な改革によって発生している。その揺れは教育と社会にとって大きな岐路である。すべての子どもが尊厳的で有為な存在であると考え、すべての子どもに豊かな教育・学習・生活の機会を提供し、多様な子どもたちが共に学びあうことのできる共生的な学習空間・生活空間を構築することを目指す「共生原理」による教育と社会の構築をするのか。また、社会的な有為性や貢献性には個人差があると考え、一部の「できる」子どもや恵まれた家庭・地域の子どもを優先する、<強者の論理>によって教育を再編することを目指す「競争原理」によって教育と社会を再編し、そこで生じる諸々の不平等や差別・排除を能力主義と自己責任論によって正当化しようとするのか。その2つの原理を調節した教育・社会のヴィジョンを構想し、義務教育の現状と課題について分析する。
「義務教育を問いなおす」
1.課題図書「義務教育を問いなおす」(藤田 英典 著 ちくま新書 2005)の構成と内容
本書は序章と終章を含めた7章で構成されている。
序章では、本書の主題でもある現在の義務教育とその改革にて発生している問題について挙げられている。日本の義務教育の揺れは1980年の「ゆとり教育」政策の開始から始まった様々な改革によって発生している。その揺れは教育と社会にとって大きな岐路である。すべての子どもが尊厳的で有為な存在であると考え、すべての子どもに豊かな教育・学習・生活の機会を提供し、多様な子どもたちが共に学びあうことのできる共生的な学習空間・生活空間を構築することを目指す「共生原理」による教育と社会の構築をするのか。また、社会的な有為性や貢献性には個人差があると考え、一部の「できる」子どもや恵まれた家庭・地域の子どもを優先する、<強者の論理>によって教育を再編することを目指す「競争原理」によって教育と社会を再編し、そこで生じる諸々の不平等や差別・排除を能力主義と自己責任論によって正当化しようとするのか。その2つの原理を調節した教育・社会のヴィジョンを構想し...