売買契約と請負契約の異同について
はじめに
請負は「請負人がある仕事を完成することを約束し、注文者がその仕事の結果に対してこれに報酬を与えることを約束することによって成立する契約」であるので、仕事の対象たるものを注文者に引渡すことが必要とされる場合にもなお、請負人の義務の主眼は仕事の完成にあり、その点で、売買と区別される。また、請負における仕事の完成に材料が必要で、その材料を注文者が供給すべき場合には、売買との区別は明白であるが、材料を請負人が供給して、製作された動産が注文者に引渡されるような、製作物供給契約の場合には、単純に仕事の完成を目的としている請負契約とは異なり、更に製作物の所有権を移転することを目的としていることから、仕事の完成を目的とする請負のようであるが、売買とも見うることから、請負か売買かの区別は、はっきりしない。
この製作物供給契約においては、一種の混合契約を認めるべきとの見解や、最終的には売買か請負かに分類することができることから特にこのような類型を立てる必要はないという見解、に分かれている。これについては、混合契約としての製作物供給契約を認め、売買契約と請負契約の...