設題1 「リハビリテーションの理念について述べよ。」
「リハビリテーション」は「リハビリ」と略して用いられる事が多くある。疾病の為に病院に入院し、その入院中に退院後の生活の為の機能回復訓練として歩行訓練等を行うものというイメージがあるが、実際リハビリテーション(rehabilitation)は、re(再び)とhabilis(適した、ふさわしい)と-ation(~にすること)から構成される言葉で「再び適した状態にする事」という意味になる。つまり、人間が何らかの原因でそれまでの状態を喪失した場合に、再びそれを回復する事という意味である。中世のヨーロッパでは、「身分・地位・資格の回復」、宗教的に「破門の取り消し」という意味で用いられた。近代では「公民権の回復」「名誉の回復」等の意味にも使用されている。この様に、広く人間の基本的権利・資格・名誉・宗教上の破門の取り消しを意味するリハビリテーションが、障害がある人に関係する用語として用いられる様になったのは近年になってからの事である。我が国では現在、介護保険制度において「訪問リハビリテーション」「通所リハビリテーション」が行われている。また、介護予防の重要性が強調され、介護状態にならないように、予防的に行われるリハビリテーションがあるが、これは医学リハビリテーションに属し、一つの側面として理解されている。
国際的に障害者に対するリハビリテーションの考え方が発展したのは、第一次世界大戦(1914~1918)の頃からで、大戦による負傷者のリハビリテーション活動が行われた事からである。その後、アメリカでは1920年に「職業リハビリテーション法」が制定され、戦傷者及び障害者を対象に職業リハビリテーション・医学的リハビリテーションが実施された。
1943年には、「全米リハビリテーション協議会」が開催され、翌年リハビリテーションの定義が発表された。それは「リハビリテーションとは、障害者が可能な限り、身体的、精神的、社会的及び経済的に最高限度の有用性を獲得するよう回復させること」とされている。障害がある人でも様々な能力を総合的に最大限に回復する権利がある事を意味したものである。
アメリカ国内に留まらず、1968年にはスイスのジュネーブで世界保健機関(WHO)による「医学的リハビリテーション」が開催された。翌年の報告書には、リハビリテーションの定義に加え、医学的リハビリテーション、社会リハビリテーション、職業リハビリテーションの定義が明らかにされた。総体的なリハビリテーションの定義として「リハビリテーションとは、医学的、社会的、教育的、職業的手段を組み合わせ、かつ、相互に調整して、訓練あるいは再訓練することによって、障害者の機能的能力を可能な最高レベルに達せしめることである」としている。この定義によってリハビリテーションの主要4分野である「医学的リハビリテーション」「社会リハビリテーション」「職業リハビリテーション」「教育リハビリテーション」が明確化されたのである。
1981年には、国連が国際障害者年(IYDP)を実施し、「完全参加と平等」をテーマにし、各国に障害者への理解を高め、障害者施策への積極的な取り組みをするよう促した。翌年に「障害者に関する世界行動計画」を発表し、その中で「リハビリテーションとは、身体的、精神的、かつまた社会的にも最も適した機能水準の達成を可能とすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことをめざし、かつ、時間を限定したプロセスである」と定義した。ここではかつての定
設題1 「リハビリテーションの理念について述べよ。」
「リハビリテーション」は「リハビリ」と略して用いられる事が多くある。疾病の為に病院に入院し、その入院中に退院後の生活の為の機能回復訓練として歩行訓練等を行うものというイメージがあるが、実際リハビリテーション(rehabilitation)は、re(再び)とhabilis(適した、ふさわしい)と-ation(~にすること)から構成される言葉で「再び適した状態にする事」という意味になる。つまり、人間が何らかの原因でそれまでの状態を喪失した場合に、再びそれを回復する事という意味である。中世のヨーロッパでは、「身分・地位・資格の回復」、宗教的に「破門の取り消し」という意味で用いられた。近代では「公民権の回復」「名誉の回復」等の意味にも使用されている。この様に、広く人間の基本的権利・資格・名誉・宗教上の破門の取り消しを意味するリハビリテーションが、障害がある人に関係する用語として用いられる様になったのは近年になってからの事である。我が国では現在、介護保険制度において「訪問リハビリテーション」「通所リハビリテーション」が行われている。また、介護...