「社会変動の要因について述べよ。」
「社会変動」とは、社会の変化や動きの事である。
社会変動には、社会の構造そのものが変わってしまう様な大きな社会変動と、社会の一部分だけが変化する様な小さな社会変動がある。更にその変動の種類として、日常的な社会関係・社会生活のあり方の変化で比較的ジワジワと起こるミクロ変動と、構造的・体制的な社会の変化・変動で、急激に起こる事が多いマクロ変動の二つの社会状況の変化がある。そのジワジワとした変動と、正反対に起こる急激な変動は互いに影響し合っているのである。
社会変動を歴史で見てみると、我が国で言えば、明治維新や第二次世界大戦、それに続く高度経済成長等である。世界的に見てみると、フランス革命やロシア革命等によるもの、そして旧ソ連や東欧の社会主義体制の崩壊等が挙げられる。
近年の社会の変動に関しては、その最中はあまり気が付かない事が多い。それが10年、20年、30年経って急激に変化した姿を見て振り返って見てはじめて、変動していた事に気付くのである。
例えば、現在の少子化は女性の社会進出の拡大、未婚者・晩婚者の増加等による合計特殊出生率の大幅な減少により起こっているが、これは当然一夜にして起こった事ではなく、ジワジワと減少する傾向があったのだ。高齢化も同様で、医学の発達、衛生面・栄養面の改善等により寿命が延びた事によるものである。これも同様に一夜にして起こった事ではない。インターネットの急激な普及による情報化社会も同様である。マクロとミクロが影響し合い、現在の状況に至っているのだ。
高齢化・少子化をはじめ、様々な社会変動の要因について考えてみると、社会で暮らす人々の生活・文化の変化、意識の変化によるものが考えられる。
F.テンニースは中世社会から近代社会への変動をゲマインシャフト(共同社会)からゲゼルシャフト(利益社会)への転換と表現している。ゲマインシャフトとは「人間の本質意志によって結びついた人間関係」の事であり、ゲゼルシャフトとは「人間の選択意志によって結びついた人間の集団」の事である。この場合、血縁関係・地縁関係内で不自由なく生活を送っていた社会が、それ以外の人間関係も必要となっている社会への変化の事を指す。
F.テンニースの唱える「ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへの転換」という点に着目してみる。社会変動の全てが、人間の選択意志にのみ基づいて変化しているのかは定かではないが、近年の社会変動を見ているとそう思ってしまう所がある。
例えば、産業化・工業化についてイギリスでは、農業生産が産業の中心である時代に、その大量生産・生産の拡大、更にその生産物の運搬等の為に蒸気機関、紡績機の発達・改良等の工業技術の発展が望まれ、それらの技術が発展し、産業が拡大して行く。同時に、工業技術の拡大により、生産の主体であった農業よりも生産性の高い工業(商品化)が産業主体となり、都市部で形成されていく。やがて農村地区にもその影響が及び、農民は農村を離れ、都市部に出向き、賃金労働者となるのである。産業の中心が農業から工業へと移行して行き、それが全国的・国際的市場を形成する事となるのである。当初は農業生産の向上を図る為に工業技術の発展が望まれたのだが、それがやがて別の可能性を見出し、当初の目的とは違った用途に使われ、新たな生産物として取って代わって成り立っているのである。
これはそのまま、都市化・過疎化にも同様の事が言える。農村に残って農業を営み続ける者と、都市部に出て行き都市労働者になる者に分かれ、農村と都市との格差が生じる事になる。農村
「社会変動の要因について述べよ。」
「社会変動」とは、社会の変化や動きの事である。
社会変動には、社会の構造そのものが変わってしまう様な大きな社会変動と、社会の一部分だけが変化する様な小さな社会変動がある。更にその変動の種類として、日常的な社会関係・社会生活のあり方の変化で比較的ジワジワと起こるミクロ変動と、構造的・体制的な社会の変化・変動で、急激に起こる事が多いマクロ変動の二つの社会状況の変化がある。そのジワジワとした変動と、正反対に起こる急激な変動は互いに影響し合っているのである。
社会変動を歴史で見てみると、我が国で言えば、明治維新や第二次世界大戦、それに続く高度経済成長等である。世界的に見てみると、フランス革命やロシア革命等によるもの、そして旧ソ連や東欧の社会主義体制の崩壊等が挙げられる。
近年の社会の変動に関しては、その最中はあまり気が付かない事が多い。それが10年、20年、30年経って急激に変化した姿を見て振り返って見てはじめて、変動していた事に気付くのである。
例えば、現在の少子化は女性の社会進出の拡大、未婚者・晩婚者の増加等による合計特殊出生率の大幅な減少により起こって...