日本でも最近、幼児虐待が多くなった。また、子どもをどう育ててよいか分からない親が多い。そのため、育児の相談ができる制度や施設が整備・拡充されつつある。では、子ども育てるうえで一番大切なこととは何であろうか。
それは、「子どものありのままの姿を見ようとすること」ではないだろうか。人間関係がこじれるのは“相手を自分の思い通りにしよう”と思うところから始まるものであり、それは親子関係に限らず、どんな人間関係の中でも同じである。まずは、子どものありのままの姿を見ること、そして受け入れることが肝要である。
よく「子は親の鏡」と言われるが、実際、「親の自分の子どもへの向き合い方は、その人の自分自身の心と体への向き合い方とそっくりだ」と感じることが多い。
自分の気持ちを否定しながら生きている人は、子どもの気持ちも否定しようとする。自分の心と現実を受け入れることが出来ない人は、子どもの心と現実も受け入れることが出来ない。自分の心と良い関係を作ることが出来ない人は、当然、子どもとも良い関係を作ることが出来ないのである。まず、自分の心と向き合い、自分の心と平和な関係を作る、ここから新しい人間関係、しいては「子どもの育て方」が始まるのである。
ドイツから学ぶこと
はじめに
親子関係を築く基盤とは何であろうか。何を置いても必要なのは「愛情」であろう。しかし、それだけでは本当に健全で温かい家庭の姿を望むことはできない。親と子の両方からの愛情と理解が満たされてはじめて、親と子が共に人間として成長し、生きていくことができるのである。それを実践するために、私達に求められていることを考えてみたい。
ドイツの教育方針
家庭教育に関して、ドイツと日本とでは相違がある。ここではいくつか気付いた点を挙げていく。
第一に、ドイツでは子どものしつけが厳しい。特に生活習慣は厳しく確立されている。
第二に、他人が子どもの教育に責任を感じ、人に迷惑をかけた場合には注意を与える。日本では近年あまり見かけなくなった光景であるが、ドイツでは年輩者が若者や子どもに注意を与えることが日常的に行われている。
第三に、マナーを身に付けている人が多い。これは社会道徳にも通じることでもあるが、自然に他人に親切にすることが出来る。これは、ヨーロッパの国々が陸続きで民族も多様であり、他人や他国の人と話をすることに抵抗が薄いからと言える。
第四に、人に迷惑をかけない...