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適応・不適応の心理的機制、またそれから引き起こされる特徴的行動
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適応・不適応の心理的機制、またそれから引き起こされる特徴的行動について説明せよ。
適応
人は、様々な環境に対して反応して生活を営んでいる。その環境は、時々刻々変化しているので、人が生きていくためには、その環境と状況に応じた行動をとらなくてはならない。さらに、単なる生命の保全だけでなく、欲求を満たして行動できるように、行動を調整していかなくてはならない。このように、主体としての個人が、欲求を満足させようとして、環境の諸条件を調和するためにとる行動や態度の調整を「適応」と呼ぶ。
このような「適応」の様態に関して、その元にある人の行動を引き起こす「動機づけ」と欲求の種類、その対立に起因する不適応状態の「葛藤」や阻害されて生じる「欲求不満」、そして、それらへの対処の仕方としての「適応機制」と「防衛機制」がある。
(1)動機づけ
「動機」によって人間や動物が「目標」に向かって、ある種の行動に駆り立てられる心理的な作用を「動機づけ」と呼ぶ。「動機づけ」とは「動機」が活動している状態であるが、一般的には、「動機づけ」ということばの中に「動機」も含まれているものとして扱われる。「動機づけ」を引き起こす様々な「動機」には、以下に述べるようなものがある。「生理的動機」または「一次的動機」と呼ばれる個体保存のための動機や、種族保存のための動機。「内発的動機」と呼ばれる外的報酬を得る事によって解消せず、活動それ自体が報酬となるような動機。「学習性動機」と呼ばれる苦痛や危険から回避、排除するなど経験によって獲得される動機。次に「社会的動機」と呼ばれる、高い目標を目指しつつ、困難に対処して、自己に打ち克ち、競争場面において人に優りたいとする「達成動機」や、人間などが、授乳による欲求充足よりも、温かい接触による愛撫や安心感を求めるとする「愛着動機」などの動機。「自己実現動機」と呼ばれる自分の持っている才能や能力、また潜在能力などを開発し、十分に発揮しようとする動機などがある。
(2)葛藤
個人の内部に相反する2つあるいはそれ以上の目標が同時に生じて、しかも、それらに同じくらい程度の関わり合いを望んでいる自分を感じた時、動きのとれない自己の状況を認知することが出来る。このような状況を葛藤という。葛藤状況は個人がその目標を肯定的なものとして、あるいは否定的なものとして感じているかどうかによって、以下に述べるような3つの型に分類できる。幼児が誕生日に1つ玩具を買ってもらう時、Aの玩具とBの玩具の選択を迫られるような状況を「接近―接近」型の葛藤と呼ばれる。大学生が、勉強はしたくないし、さりとて留年も嫌だという場合の「回避―回避」型の葛藤。大学生が単位は取りたいが、授業には出たくないというような場合の「接近―回避」型の葛藤。これらの3つの型の葛藤が基本形で、実際には、われわれはこれらが複雑に絡み合った状況で葛藤を経験している。
葛藤がどのような型で生じるとしても、必ずしも情動的反応を起こすとは限らない。しかし、葛藤状況が解決されず、長期間緊張状態が続くときには、情動的混乱を招くことがある。そのような場合は、個体は葛藤から脱却するために、様々な対処行動を試みることになる。その代表的なものとして、「代償行動」の採用と「要求水準」の調節とが考えられる。「代償行動」とは、類似した別の欲求を満たす行動をとることで、本来の欲求阻止から来る緊張状態が緩和されるならば、その行動は本来の行動に対して代償的役割を演じたことになるような行動をいう。次に「要求水準」とは、普通、個体は行動に際して最低ここ
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『適応・不適応の心理的機制、またそれらから引き起こされる特徴的行動について説明せよ
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『適応・不適応の心理的機制、またそれらから引き起こされる特徴的行動について説明せよ。』
適応とは、主体としての個人が、その欲求を満足させようとして環境の諸条件と調和するために取る行動や態度の調整のことをいう。そして適応には、環境や状況に自己を適合させていく「受動的」な形と、環境に働きかけて変革するという「積極的」な適応の形がある。人が適応のための行動を起こす際には必ず「原因」が存在するが、そこにはさまざまな「原因」があり、それらに対する「動機付け」はさまざまである。また、めざす目標の位置や重要性と自分との関係によっては数種の「葛藤」が生じ、これら心的作用が人の行動に対して影響を与える。「欲求不満」も同様にいくつかのタイプがあり、適応、不適応にかかわる重要な心的作用として考えられる。
「葛藤」は人なら誰でも経験するであろう心の作用である。当然ながら「適応」行動の際にもそれは十分起こりうることである。「葛藤」とは個人の内部に相反する2つあるいはそれ以上の目標が同時に生じて、しかも、それらに同じくらいの程度の関わり合いを望んでいる自分を感じたとき、動きの取れない自己の状況を認知することである。種類としては(1)接近-接近」型、(2)「回避-回避」型、(3)「接近-回避」型の3つがあり、(1)は例えば買い物でどっちを買おうかなという時の葛藤で、結局選ばれなかったほうの誘意性は薄れていく。(2)は勉強をしたくない。しかし赤点取るのも嫌だ。というように負の誘意性をもつ2つの目標が存在するとき。(3)は単位を取りたい。しかし、勉強は嫌だという場合である。また、葛藤が長期間続くという緊張状態のなかにあっては、個体は葛藤から脱却するためにさまざまな対処行動を試みる。代表的なものは「代償行動」と「要求水準」の調節がある。例えば、目的地にバイクで行きたいけれども、事情により、しかたなく自転車で行くという場合、「自転車で行く」が代償行動にあたり、自転車で行く事に満足ができればそれは「代償行動」ということになる。満足度が高いと代償価は高いといえ、満足度が低ければ代償価は低いということになる。「要求水準」の調節とは例えば、試験の結果、60点の成績に落胆しながら、まあ単位が取れたのだから良しとしようと自分に言い聞かせて気を取り直す、といった場合である。
欲求不満には「攻撃性」、「退行性」、「固着性」、の3つのタイプがある。イライラしたり、口論したりする「攻撃性」、甘えん坊になり、指をしゃぶったり爪を噛んだり、相手主導の配慮を待つ構えがうかがえる「退行性」、攻撃性も退行性もなくただ身動きがとれずにじっとしている「固着性」、など。いずれにしても欲求不満は自我の不安へつながり次に「防衛機制」が働き、そしてそれは有効であっても根本的な解決にはならず、結局単なる「逃避」行動になり不適応行動という認識に至る。
人は困難にぶつかるとそれに対処しようとする。こういった適応への努力を「適応機制」という。また将来に不安を感じはじめるとそれは自我の崩壊の危機へとつながる恐れがあるので、このとき適応機制が働くが、ここでの適応機制は「防衛機制」と同義語と考えてよい。防衛の基にある動機は不安である。不安に対する防衛措置は「適切な解決策」とは言い難く、逆に適応の困難さを招く恐れがあるため、「防衛機制」を「不適応の徴候」とされる事が多い。それでは次に主な防衛機制について述べたいと思う。
「抑圧」は心的エネルギーをそのまま発散させると、不安や破局を起こす恐れがあるとき、自我がそのような不安や破局を起こ
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