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社会福祉原論 社会福祉理論
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<社会福祉理論>
1.社会事業
社会福祉事業の前身は、社会事業である。
社会連帯的社会事業論が形成されたのは昭和が始まってからだといえよう。生江孝之は「社会事業の父」とも呼ばれ、内務省嘱託として社会事業成立に貢献し、社会事業専門教育にも携わった。生江の代表的な著書に『社会事業綱要』がある。社会事業設立当時の官僚であった田子一民は1922年に『社会事業』を、小河滋次郎は『社会事業と方面委員制度』を1924年に発行している。山口正は、ドイツの社会事業理論研究者ザロモンの影響を色濃く受け、1933年に『社会事業研究』を発表した。
日本における本格的な社会事業論の成立・展開は、第2次世界大戦を控えたファシズムの嵐が吹き荒れる頃であり、主に社会政策との対比において論じられた。その代表的な論者は、大河内一男と風早八十二が挙げられる。
大河内の社会事業論においては、資本制経済の再生産に必要不可欠な存在としての「生産政策」である社会政策と、「経済秩序外的存在」を対象とする社会事業を全く別のものとして区別する。社会事業は社会政策の対象からこぼれおちた者に対して機能するものであり、その意味で社会政策の補充的位置づけにあり、その基本的性格は生産政策に従属的なものであるとした。
風早は、「社会政策も社会事業も、資本の労働運動行程において必然的に発生した無生産的乃至窮貧人口を対象とし、これに対して資本が運行を順当に継続せんが為に行うところの、合目的的な施設であり、それ自体資本の運動法に従属したものである点に本質を同じくする」と規定している。
両者の違いは、各々の対象設定にある。大河内の社会事業の設定が「経済秩序外的存在」であったのに対して、風早のそれは「労働能力欠如者」も含めることに大きな違いがある。すなわち、資本制経済の再生産に不可欠な存在として「労働能力の欠如者」も含む相対的過剰人口を位置づけるのである。しかしながら、その結論としては大河内と変わらず、社会事業の合理性・合目的性に終始してしまう。
2.社会福祉の確立 ―「政策論」と「技術論」―
1950年代~60年代における社会福祉理論研究は、マルクス経済学をベースとする社会政策学の研究方法に基づく孝橋正一の理論と、構造機能主義的アメリカ社会学に基づく岡村重夫の理論の2つの潮流を形成しながら展開された。孝橋理論では、社会科学的な理論により社会福祉の本質を「政策」に求め、岡村理論では、近代技術の導入とその科学化を目指し、社会福祉の本質を「技術」に求めていたため、それぞれは「政策論」「技術論」と称された。
・岡村重夫の「技術論」
岡村重夫は社会福祉の「固有性」を重要視した上で社会福祉学の確立を目指し、独自の手法を展開した。個人は「社会関係」を通して「社会生活の基本的欲求」を充足し、その過程こそが「社会生活」であると説明する。
社会福祉が対象とするのは、「社会関係の不調和」「社会関係の欠損」「社会制度の欠陥」が生じた場合である。それは、様々な形で生み出される個人とそれをとりまく環境との不適応・不均衡を示す状態であり、これを「調整」することが社会福祉の主たる機能である。それゆえ、その「調整」に用いられる「援助技術」、相対的に重要な位置づけをもたらされることになるのである。
また、社会福祉の援助技術の原理として、「社会性の原理」「全体性の原理」「主体性の原理」「現実性の原理」をあげ、これは「社会福祉の固有の視点に立って生活問題を見る場合の原理である」と説明している。
岡村理論は、社会政策等の他の制度・施策との比較により
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これから社会福祉における「個人の主権者化」と新しい地域福祉政策の課題について自分の考えを述べようと思う。まずは日本の福祉制度は現在、市場原理・競争原理の導入により変化を遂げようとしている。この変化について利点や問題点をあげたい。
制度面についていえば、社会福祉基礎構造改革は利権者主体、個人の選択を重視した制度の推進をめざしている。そのためには地方分権が欠かせないし、供給主体の多様化も必要である。もちろん、判断能力の不十分な人を支援する権利擁護の仕組みや、苦情解決の仕組みも不可欠である。こうした完換えが定着し、進んでいけば社会福祉サービスの供給主体は広がり、競争が生まれてくることになる。社会福祉サービスに市場原理、競争原理が導入されることをどう考えていけばいいのか。
私は「財政は公的に、供給は民間で」という形で市場原理が導入されることで、従来の市場原理のデメリットが解消されるのでは、と考える。ただ、クリームスキミングと呼ばれる、非常にもうかるところだけを選別するといった問題は生まれるでしょうから質の評価やチェックを実施することは不可欠である。そして、市場原理の導入で不安に思うのは、まず、その財政を投入する基準となる判定・認定が本当に利用者の実情を把握し得る程度に成熟しているかという点である。高齢者の要介護認定や障害児・者の障害程度判定・認定が代表であるが、私が児童相談所で行っていた障害児の程度判定を一つ見ても、さまざまな矛盾が指摘されており、そのことが高齢者の要介護認定にどのように生かされたのか見えてこない。要介護認定をめぐる混乱をみていると、制度の変更に十分に追いついていないという気がするのである。また、判断能力が不十分な人々が市場原理の中でサービスを利用していくための配慮も必要だ。この部分も制度に方法が追いついていない分野だといえるのかもしれない。
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合格レポートです。
参考文献↓
①新・社会福祉とは何か 大久保秀子 一橋出版 株式会社 2007年5月15日
②保育・教育ネオシリーズ[7]社会福祉 阿部實 株式会社 同文書院 2004年4月15日
③保育ライブラリ 保育・福祉を知る 社会福祉 片山義弘 李明徳 ㈱北大路書房 2004年8月20日
④改訂・新保育士養成講座2005第一巻 社会福祉 改訂・保育士養成講座編纂委員会 社会福祉法人全国社会福祉協議会 2005年2月7日
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格差社会と福祉社会
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格差問題と福祉社会
まず、ジニ係数の推移から所得格差を見ていく。図1に見るに80年代、90年代を通じ、日本の格差は拡大傾向にあるように見える。
しかし、図2を見ると、格差が拡大しているといえるのは30歳未満のグループのみであり、30歳代、40歳代、50歳代において格差は安定しており、70歳以上、60歳代にいたっては格差が縮小している。
(図1)日本の格差は拡大傾向
(図2)世代内での格差は安定
社会実情データ図録HP( http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/index.html )より
また、65歳以上人口は、1950年以前は5%前後で推移していたが、その後は拡大が続き、1985年には10%を超え、次第に拡大幅を広げていることをふまえると、日本の格差拡大は、元々格差の大きい高齢世代(高齢世代ほど所得格差が拡大する原因の一つとしては、稼得能力によるものが考えられる。一般的に年齢が増すほど、それまでの稼得能力の差が反映されて、所得格差が拡大する傾向があり、高年齢層では同じ年齢階級であっても所得の差が大きくなる。)の割合が高まったことにより、引き起こされているものと考えられる。
すなわち、ここで注目するべきなのは、60歳以上の格差が縮小していることと、30歳未満のグループの格差拡大である。
(1)60歳以上の世代における格差縮小
他の世代のジニ係数がほぼ同じ水準で推移しているのに対し、60歳以上のグループでは大きく格差が縮小している。この理由としてまず考えられるのが社会保障による所得の再分配である。厚生労働省「所得配分調査報告書」によると、平成8年~平成14年の範囲では当初所得が大幅に減少していくなかで、当初所得に社会保障給付を加えた再分配所得ではほぼ一定となっている。再分配係数が増加していることからも分かるように、年金制度等の社会保障制度による所得の再分配効果が上昇していることが言える。
(図3) 高齢者の所得再分配は加速
平成8年 平成11年 平成14年 世帯人員(人) 1.59 1.59 1.56 当初所得(A) (万円) 141.8 122.2 92 再分配所得(B) (万円) 386.7 392.9 390.2 再分配係数 (A-B)/A 1.73 2.22 3.24 厚生労働省「所得配分調査報告書」より
そして、図4からも明らかな通り、高齢者世帯は、その総所得のうち公的年金・恩給が約7割を占めており、全世帯に比べその割合が高い。こうしたことから考えられるのは、高齢者世帯について当初所得は減少しているものの、社会保障制度等の再分配所得によって所得の底上げが行われて総所得のうち社会保障給付金等の占める割合が高い高齢者世帯の所得が均一化し、所得格差が縮小方向を示しているということである。
ここにおいて、福祉社会における社会保障の意味というものが見出せるのではないか。高齢化社会によって、若年層に比べて自由な時間を多く持つ高齢者が増加する。彼らは所得の低下にも関わらず、社会保障制度による再分配によって以前の高齢者と変わらぬ所得を得て、会社などの組織社会に縛られない自由な時間を以前より長い時間楽しむことができるのである。少子高齢化がこの先進んでいけばよりいっそう社会保障制度による再分配の意味は増してくるであろう。
高齢者増加による社会の負担が問題とされることは多いが、高齢者増加による負担の増加は同時に介護サービス業などの拡大による雇用の増加、需要の増大となる。
人口減少社会では、当然、消費需要は人口の減少に伴って減って
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