マネーはどのような理由で需要されるのか。
マネーの果たす役割としては通常、次の三つが指摘されている。
①いかなる財とも交換し得る媒体、交換手段の提供
②計算単位の提供
③マネーが価値保蔵に使いえるということ。
以上のマネーの三つの役割のうち、第一と第三がマネーの本質に関わるものであり、マネー需要関数の形にもそのことが反映される。
人はなぜマネーを保有したがるのだろうか。
それは、買い物にかける時間や労力を大幅に節約できるからである。
企業にしても、原材料の仕入れや製品の販売においてマネーの果たす役割はきわめて大きい。
こう見てくると、個人や企業のマネーに対する需要には次の三つの特性がある事が判る。
第一は、マネーは買い物や商取引を行うために必要なものである以上、買い物や取引の量が増えれば、用意するマネーの量も当然それに見合って増やさなければならない。
第二に、マネー需要といっても、人々の関心があるのは、名目でいくら欲しいという金額ベースの話ではなく、どの商品を何個買えるのかという実質的な購買力である。
したがって、マネーを取引量や買い物の量と結びつける場合、両方とも実質ベースでなけ...