科目:老年看護学Ⅰ
タイトル:神経・感覚・運動の変化
加齢による身体的変化
人間の身体は一般に、40代後半頃から確実に老化といわれる現象が目立ち始める。例えば、辞書や地図、新聞などの細かい文字が読めないといった視力調節障害、女性における更年期障害、閉経などは目に見える老化現象といえる。しかし、見えざるところでも老化は進む。
脳組織や腎臓、肝臓などでもそれらを構成する細胞は容積においても数においても50~60代頃から徐々に減少していくといわれている。
運動機能の変化
運動には骨関節、筋、神経などが関係する。骨関節、筋、神経の機能が年齢とともに低下し、その結果として運動機能も低下する。
骨関節
50歳代を過ぎると、骨の中に含まれているカルシウムなどの成分が減少してくる。骨成分の減少によって骨の強度は低下する。そのため、高齢者には大腿骨頸部骨折、脊椎圧迫骨折などが多発する。関節は、軟骨の厚さが減少して弾力性を失う。また、骨の破壊や増殖といった骨関節の変化も生じてくる。これらの変化によって関節可動域が減少する。高齢者では肩関節挙上の制限、肘・膝伸展の制限などが起こってくる。
筋
筋線維は50歳を過ぎると減少する。筋力は正常では25歳~30歳で最大となり、それ以降は次第に減少する。60歳~70歳の筋力は20歳~30歳の70%~80%といわれる。筋力の低下とともに、全身運動のスピードとパワーも減少し、持久性も低下する。しかし、筋力、パワー、持久性の低下は個人差が大きく、常時筋肉を使っている人とそうでない人では大きな差がでてくる。高齢者でも限度に達しない程度で筋を長時間使うことは可能である。適当な休息でさまざまな課題を達成することができる。
神経
運動神経、感覚神経の機能は年齢とともに低下する。種々の刺激を受けると、神経系は一定時間の後に一定のパターンをもった反応を引き起こす。例えば、足底に対する痛み刺激は脚の屈曲反応(股・膝・脚関節の屈曲)を生じさせる。年齢とともにこのような反応の発現するまでの時間が延長する。下肢筋の腱を叩打して誘発する腱反射が若年者よりも低下するのも知られている。また、反応の際に生じる運動が拙劣となってくる。
運動能力
運動能力の低下は一律ではなく、運動能力のある側面は低下し、別の側面は保たれる。飛んだり跳ねたりするような瞬発力を要する運動、走るなどのスピードを必要とする運動では著明な低下が起こる。一定の時間以内に達成しなければならない運動なども困難となる。流れ作業の一部に組み込まれることは不得意である。
不安定なバランスを要求される全身運動が困難となる。片脚立ちや閉眼で立位をとれる時間は短くなる。不安定な姿勢でボールを捕るなどは非常に難しくなる。
また、運動が複雑であったり、大きな運動を要する場合は課題達成の時間が著しく延長する。例えば、指打ちを繰り返すタッピングのような単純な運動は加齢によって大きな影響を受けない。しかし、モニター画像で対象物の動きを追いかけるような追跡運動は、持続した集中力が必要であり、加齢によって拙劣となる。
一方、不安定なバランスを必要とせず、動的な運動ではなく、自分のペースでできる運動は比較的保たれる。
感覚機能の変化
平衡感覚の低下
視力・コントラストの低下
聴力の低下
臭覚の低下
触覚の低下
温度の低下 転倒しやすい
輝度コントラストが小さくなると視力が低下する
照度の低下により緑や青は識別しにくい
視野が狭くなる
白内障がすすみ霞む、まぶしい、二重にみえる
高音域の音が聞こえにくい
異臭
科目:老年看護学Ⅰ
タイトル:神経・感覚・運動の変化
加齢による身体的変化
人間の身体は一般に、40代後半頃から確実に老化といわれる現象が目立ち始める。例えば、辞書や地図、新聞などの細かい文字が読めないといった視力調節障害、女性における更年期障害、閉経などは目に見える老化現象といえる。しかし、見えざるところでも老化は進む。
脳組織や腎臓、肝臓などでもそれらを構成する細胞は容積においても数においても50~60代頃から徐々に減少していくといわれている。
運動機能の変化
運動には骨関節、筋、神経などが関係する。骨関節、筋、神経の機能が年齢とともに低下し、その結果として運動機能も低下する。
骨関節
50歳代を過ぎると、骨の中に含まれているカルシウムなどの成分が減少してくる。骨成分の減少によって骨の強度は低下する。そのため、高齢者には大腿骨頸部骨折、脊椎圧迫骨折などが多発する。関節は、軟骨の厚さが減少して弾力性を失う。また、骨の破壊や増殖といった骨関節の変化も生じてくる。これらの変化によって関節可動域が減少する。高齢者では肩関節挙上の制限、肘・膝伸展の制限などが起こってくる。
筋
筋線...