最近のある調査(毎日新聞より)によると、現在、がんなど大きな病名について告知しているとする医師は約50%(このうち、患者が要求する情報全てを提供する医師のうち、勤務医38%、開業医14%)であり、米国の97%と比べると依然として低い。この実態の上に、インフォームドコンセント(Informed Consent:IC)やクオリティーオブライフ(Quality Of Life:QOL)などの考えが加味され、とかく世論の流れは告知されるほうが望ましい、あるいはなされるほうが進歩的だとみなされる傾向にあるようだ。インフォームドコンセントとは、医学的処置や治療に先立って、それを承諾し選択するのに必要な情報を医師から受取る権利のことであり、医療における人権尊重上重要な概念として各国に普及している考えである。(クオリティーオブライフとは、生活を物質的な面から量的にとらえるのではなく、個人の生き甲斐や精神的豊かさを重視して質的に把握しようとする考え方である。)
もちろん、この告知至上主義は、医者が患者の人生の一部を背負う重圧から逃れた、あるいは易きに流れたと批判する声もある。患者に本当の病名を隠すことは、家族は元より、医者にとっても辛いことであり、心理的負担が大きかったとある。また、医者と患者の関係は、日本人は欧米のようないわゆる個人主義や合理主義などの徹底した思想を持っている国とは違っているので、日本の国民性を考えると、インフォームドコンセントなどの外国特有の概念をそのまま持ち込んで良いものかどうかという問題にも直面する。
レポート、心理学、インフォームドコンセント、クオリティオブライフ、死、心理療法、がん、informed consent
心理支援論
大きな病気の病名告知(を受けた人々)について
最近のある調査(毎日新聞より)によると、現在、がんなど大きな病名について告知しているとする医師は約50%(このうち、患者が要求する情報全てを提供する医師のうち、勤務医38%、開業医14%)であり、米国の97%と比べると依然として低い。この実態の上に、インフォームドコンセント(Informed Consent:IC)やクオリティーオブライフ(Quality Of Life:QOL)などの考えが加味され、とかく世論の流れは告知されるほうが望ましい、あるいはなされるほうが進歩的だとみなされる傾向にあるようだ。
インフォームドコンセントとは、医学的処置や治療に先立って、それを承諾し選択するのに必要な情報を医師から受取る権利のことであり、医療における人権尊重上重要な概念として各国に普及している考えである。(クオリティーオブライフとは、生活を物質的な面から量的にとらえるのではなく、個人の生き甲斐や精神的豊かさを重視して質的に把握しようとする考え方である。)
もちろん、この告知至上主義は、医者が患者の人生の一部を背負う重圧から逃れた、あるいは...