『象徴機能の発生について説明せよ(説明には子供の行動の具体的研究例も提示する)。また、教育との関連で大切な点を説明せよ。』
1、象徴機能
記号的意味作用において、あるものを、それとは異なるもので代表させる働きを「象徴機能」、もしくは代表化機能という。後者は象徴もしくは象徴体、前者は指示対象と呼ぶ。両者が異なるものでありながら、指示関係をもちうるのは、象徴体と指示対象のそれぞれについての表象が心内において形成され、結びつけられるからである。したがって信号や標識(指標)による記号的意味作用は乳児初期から成立するが、「象徴機能」の発現、表象の形成と期を同じくし、ほぼ生後1年半頃を待たねばならない。ピアジェによると、それに先立つ感覚運動期における遊びと模倣の発達が「象徴機能」を準備するとする。ピアジェは思考の発達段階説で以下のような例を挙げて1歳半ごろから象徴機能が生じると説明している。
いつも枕カバーの縁飾りをつかんで寝るのが習慣であった女児が、たまたま母親の下着の縁飾りをつかむと、横になって寝るまねをした。この例では、母親の下着の縁飾りが象徴として機能している。
「象徴機能」は、指示対象が現前しない状況においてそれを表現し、記号的状況を現出するところに大きい力を発揮するが、それは他人に向けて表現として働く。ウェルナーは象徴体、指示対象、送り手(表現者)、受け手の4項の関係の分化においてその発達をとらえようとした。象徴は自己と他者間の共同的意味の担い手であり、その形成には、自他関係の発達と相互に影響しあう。
「象徴機能」は、言語機能の中核をなし、「象徴機能」の発現とともに組織的な言語獲得が急激に可能になるし、また様々な表現活動、身振りや象徴遊び、描画行動などを生み出していく。さらに、高次の言語活動として比喩や詩的表現などとして働いてくる。
2、象徴遊び
象徴遊びは象徴機能の表れとされている。象徴遊びとは、小石をあめ玉に見立てるように、あるものを他のものや自分の動作に代理させるのに、象徴機能を使用した遊びである。象徴遊びにはままごとやほうきを使ったお馬さんごっこのようなごっこ遊びやふり遊びがある。ピアジェによれば、意味するもの(能記)と意味されるもの(所記)の関係の成立である象徴機能の1つの表れが象徴遊びで、生後2年目に出現してくる。象徴遊びは、言葉とともに幼児期の象徴機能と表象作用の発達を代表するもので、重要な精神発達を示す。象徴遊びの発達傾向は脱文脈化、脱中心化、統合化から検討出来る。脱文脈化は、ある事物を他のもので代置きさせる事である。1歳過ぎでは、布をシーツにみたてるように現実に類似したものを代理物として使用する。発達につれ代理物は現実のものから離れていく。脱中心化はふり遊びの焦点が自分自身に中心をおいている程度のことである。最初は自己にむけられたふり遊びから、大人や人形が子供のふり遊びの動作の受け手となる。2歳の終わりでは、人形やぬいぐるみが動作の主体となる。さらに発達につれ他者の活動の模倣や演技のふりへと発展していく。統合化は断片的であった行為が相互に有機的に関連づけられ、脈絡をもち系列をなした遊びを構成してくることである。大人の活動を模倣した象徴遊びにより、子供は社会化、文化化していく。また、ガーベイは役割・動作プラン・ものおよび状況の設定の3つの要素に着目してごっこ遊びの構成を分析した。まず、役割対象や動作についての知識の利用である。幼児が最もよく知っているのは家族であり、様々な動物や架空の人物が登場しても、その動作プランは家庭生活に
『象徴機能の発生について説明せよ(説明には子供の行動の具体的研究例も提示する)。また、教育との関連で大切な点を説明せよ。』
1、象徴機能
記号的意味作用において、あるものを、それとは異なるもので代表させる働きを「象徴機能」、もしくは代表化機能という。後者は象徴もしくは象徴体、前者は指示対象と呼ぶ。両者が異なるものでありながら、指示関係をもちうるのは、象徴体と指示対象のそれぞれについての表象が心内において形成され、結びつけられるからである。したがって信号や標識(指標)による記号的意味作用は乳児初期から成立するが、「象徴機能」の発現、表象の形成と期を同じくし、ほぼ生後1年半頃を待たねばならない。ピアジェによると、それに先立つ感覚運動期における遊びと模倣の発達が「象徴機能」を準備するとする。ピアジェは思考の発達段階説で以下のような例を挙げて1歳半ごろから象徴機能が生じると説明している。
いつも枕カバーの縁飾りをつかんで寝るのが習慣であった女児が、たまたま母親の下着の縁飾りをつかむと、横になって寝るまねをした。この例では、母親の下着の縁飾りが象徴として機能している。
「象徴機能」は、指示対象...