地方分権化改革の政治分析

閲覧数2,300
ダウンロード数31
履歴確認

    • ページ数 : 12ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    はじめに
    国から地方への補助金の削減、交付税の見直し、税源移譲を一体で進める税財政改革という三位一体の改革。地方分権を進め、国と地方の財政再建を図る狙いの下で、1年目の004 年度は全国の自治体に対して補助金約1兆円、交付税など約3兆円を削る一方、税源移譲は約6500 億円しか行われなかった。そのため、「負担を押しつけるだけ」などと地方から不満が続出し、2004 年5月に閣議決定された「骨太の方・第4弾」では、2006 年度までに3兆円規模の税源を移譲する方針が盛り込まれた。
    小泉首相が3兆円の税源移譲の大枠を示して以降、参院選前のめくらましだという意見があった一方で、地方分権化改革の議論は加速度的に進んできた。同時に、改革を巡って、地方公共団体のコスト削減を最大の目的とする財務省と、地方公共団体が自立的な行政サービスを行うことができることを最大の目的とする総務相の間の対立が大きく報じられ、どのような政治的な決着が図られるのかが非常に注目を集めた。
    今回のテーマである地方分権化改革において注目されるのは、それに関係する各アクターが、大枠での目的は同じであるにも拘わらず、全く異なる思惑の下で地方分権化改革を推進しようとした点にある。それぞれのアクターにとって譲れない主張が存在するため、目的は同じであるにも拘わらず、三方一両損でなければ改革が進められないのだ。そのため、トップダウン的な改革が求められ、抜本的な改革には首相のイニシアティブが必要となったと言える。
    私は、全く異なる思惑を彼らがどう一致させていったのかという点に興味をそそられ、このレポートを書くに至った。そこで今回のレポートでは、複雑なアクターの対立の中で、アクターたちが「三位一体の改革」を生み出した構造的な背景を追うとともに、2004 年7月の参院選を挟んだ2004 年の1 年間の間に小泉首相やその他のアクターがどのように利害を一致させていったのかを描き出したいと考えている。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    地方分権化改革の政治分析
    ~アクターの対立の分析を中心に~
    2006/3/7
    - 1 -
    はじめに
    国から地方への補助金の削減、交付税の見直し、税源移譲を一体で進める税財政改革という三位一
    体の改革。地方分権を進め、国と地方の財政再建を図る狙いの下で、1年目の2004 年度は全国の自
    治体に対して補助金約1兆円、交付税など約3兆円を削る一方、税源移譲は約6500 億円しか行われな
    かった。そのため、「負担を押しつけるだけ」などと地方から不満が続出し、2004 年5月に閣議決定され
    た「骨太の方針・第4弾」では、2006 年度までに3兆円規模の税源を移譲する方針が盛り込まれた。
    小泉首相が3兆円の税源移譲の大枠を示して以降、参院選前のめくらましだという意見があった一方
    で、地方分権化改革の議論は加速度的に進んできた。同時に、改革を巡って、地方公共団体のコスト
    削減を最大の目的とする財務省と、地方公共団体が自立的な行政サービスを行うことができることを最
    大の目的とする総務相の間の対立が大きく報じられ、どのような政治的な決着が図られるのかが非常に
    注目を集めた。
    今回のテーマである地方分権化...

    コメント1件

    catanddog5 購入
    とても参考になりました。
    2007/04/17 18:11 (17年8ヶ月前)

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。