「精神医療の歴史及び精神医学の概念について述べよ。」
1.はじめに
精神医学とは、人間の精神現象を扱う学問である。「精神」という機能はあらゆる人間の機能のなかですべてを統制する高度なものであり、生理機能の最上位に位置するのである。また、人間の構成成分を「精神」と「身体」に2分すると、そのひとつを担う重要な医学である。
2.精神医療の歴史(西洋と日本)
西洋の歴史において、ギリシャ時代には精神障害者は、身体的なものと結び付けられて考えられていた。これは抑うつ状態を意味する「メランコリー」という言葉が「黒い胆汁」というギリシャ語に由来していることからも分かる。精神障害を病気とみなし、身体治療とともに、作業・レクリエーション治療法的なものが行われ、医療的な対応が行われていたのである。
10世紀になると精神障害は、宗教的・哲学的な考えが中心となり、精神障害者は一般社会から迫害されたのである。
15世紀頃になると、精神障害者の社会的隔離を目的として、精神障害者収容所がつくられたが、それは医療の対象ではなく、教会や寺院の経営によるものであった。18世紀になってはじめて、精神障害者の治療・管...