医療保険制度の現状の理解と課題の発見
わが国の医療保険制度は、「いつでも、どこでも、誰でも安心して医療を受けられる」という国民皆保険が、長い歴史を経て実現されてきた。
医療保険制度とは、疾病という不確実な事故に備えて、危険負担を集団で社会的に行う仕組みであり、個人ではその損失を負担できない危険について集団で平均化しようとする社会的なシステムである。病気や怪我にみまわれた場合、医療サービスの提供を受けてその回復・救済を行うことが必要であり、その経済的な負担について個人ではなく、社会政策的な観点から社会保険の仕組みを使って費用保障を行うのが医療保険制度である。
わが国では、国民すべてがいずれかの医療保険制度に加入する「国民皆保険」の仕組みをとっている。地域や職場の各保険集団に強制加入することが原則となっており、所得に応じて保険料が徴収される。また、医療保険が費用保障を目的に行う保険給付の内容は法律によって定型化されており、国民すべてが平均的・標準的な医療サービスを安心して受けることができるようになっている。しかし、医療保険が費用保障すると言っても、病気になった人とならない人との...