「公的年金についてのレポート」
まず2004年年金改革案、民主党の出した年金改革案について議論する前に、年金とはいかなるものかについて考えなければならない。
年金とは何か。厚生労働省ホームページの「公的年金に対する考え方」によると、公的年金は将来の経済社会がどのように変わろうとも、やがて訪れる長い老後の収入確保を約束できる唯一のものとして認識している。
将来予測される老後の余命期間が予測不能であること、現役時代から老後までの長い期間に起こるだろう賃金や物価の上昇などの予測不能な社会変動、さらに老後を迎える前に負う障害、死亡して遺族が残されるという3つのリスクに対して、社会全体で保障使用という目的を持つのが年金である。社会全体でというのは、個人でこれらのリスクがある中で、老後の生活の収入を保つことは、貯蓄や子供からの扶養などだけでは、通常不可能であるからである。以上が年金にもたれるべき認識と要点である。
最近では、国民が年金に不信感を抱いている。毎日新聞「公的年金制度 強い不信」をよんでも分かるように、世代によっては、国民の半分以上が年金に対し、年金体制は崩壊するなどの不安感をもっているためである。 少子高齢化が進み、高齢者世代を支える人口が減り、人口ピラミッドが逆三角形に近づくと、人口ピラミッドが三角形の時に出来る少なくなった高齢者世代を豊富な若年世代で支える「扶養の世代送り」が機能しなくなったと考えるからである。 年金の不安に関する記事である毎日新聞「公的年金制度 強い不信」の隣にも、公的年金制度に対する不安と同時に「高齢者人口2640万人 最高更新」という題名で、さらに高齢化社会による不安を煽るような記事が載っている。 中には、この年金不信感のために、年金保険料自体も払わない人まで出てきてしまった。 しかし年金は、一人辺りの支給額が減ろうが、保険料を支払えば、受給出来るのであり、こうした不安感を煽ったメディアなどの功罪は大きい。民主党は年金を払えば損をするというねずみ講のような論議をしたこともある。
そもそも年金制度が崩壊するということ自体がありえないからである。
しかし権丈(2006)はこれを否定する。本当は、年金を払わなければ、損をするというのである。
本来議論すべきは、年金の制度についてである。少子高齢化社会という社会構造にみあった年金制度を作るという議論である。
その議論の中心となる民主党、与党、それぞれの年金改革案を見ていく。民主党が出した年金案とはいかなるものであるのか。
民主党案は、保険料率は現行水準に据え置き、今後は年金目的消費税による税収を年
金制度に投入して財源をまかなうというものである。しかし年金目的消費税の導入については、問題がある。 その問題とは、民主党の案は、国民の同意が、果たして取れるのかということである。民主党案において、年金消費税は、最低保障年金を保障するために導入するとしているが、まずどの所得層あたりから、最低保障年金の給付が終了するのかは明らかにされていない。 またこの最低保障年金を目的とする消費税―権丈(2006)によるとこの消費税のことを「最低保障年金目的消費税」と呼ぶ―は、給付の見返りなしに、支払い続けなければならない人が相当数いるということである。 公的年金の財源を社会保険方式で調達するということは、人よりも多く支払えば人よりも多くの給付が約束される特徴を持っている。
しかし、最低保障年金目的税は、人より多く払っても、自分の給
「公的年金についてのレポート」
まず2004年年金改革案、民主党の出した年金改革案について議論する前に、年金とはいかなるものかについて考えなければならない。
年金とは何か。厚生労働省ホームページの「公的年金に対する考え方」によると、公的年金は将来の経済社会がどのように変わろうとも、やがて訪れる長い老後の収入確保を約束できる唯一のものとして認識している。
将来予測される老後の余命期間が予測不能であること、現役時代から老後までの長い期間に起こるだろう賃金や物価の上昇などの予測不能な社会変動、さらに老後を迎える前に負う障害、死亡して遺族が残されるという3つのリスクに対して、社会全体で保障使用という目的を持つのが年金である。社会全体でというのは、個人でこれらのリスクがある中で、老後の生活の収入を保つことは、貯蓄や子供からの扶養などだけでは、通常不可能であるからである。以上が年金にもたれるべき認識と要点である。
最近では、国民が年金に不信感を抱いている。毎日新聞「公的年金制度 強い不信」をよんでも分かるように、世代によっては、国民の半...