労務管理特講 雇用管理
雇用管理の4つのサブシステム
Ⅰ.雇用管理とは何か
必要労働力、すなわち従業員の調達計画としての要因計画に基づき、従業員をその質と量という2つの基準で過不足のない適正な状態に維持するとともに、雇った従業員を適切な職務に配置することを役割とする人事労務管理の基幹的な職能のこと。
雇用管理を支持する4つのサブシステム。
採用管理
人事異動管理
退職管理
雇用調整
図1 雇用管理の体系
Ⅱ.採用管理
企業が必要とする労働力としての従業員を要因計画の基づき、新たに外部労働市場から調達する役割を担う。具体的には従業員の募集・選抜を主たる手続きとする。しかし採用活動を整合的に行うためには、企業が経済合理的に見て、過剰でも過少でもない適正な要員数(従業員数)を事前に確定しておく必要がある。これが「要因計画」であり、これを基礎として採用計画が策定され、実際の採用活動が動き出す。
要因計画
定義:一定の時期において一定の職務に配置する適格な従業員数を確保するための手続き。
欧米企業。
通常2~5年のスパンを持つ長期要因計画が策定され、これに基づき、実際の採用活動が行われる。戦略的人的資源管理から戦略的な要因計画策定までの基本的な手続きに含まれる4つの要素。
企業の戦略的な目標の決定
戦略目標達成に必要とされる従業員の技能・経験・総数の決定
現有の従業員から見て、新たに追加すべき要員数の決定
必要な要因を確保すべき実行計画の策定
一方、こうした計画的な採用活動とは別に、欧米諸国では労働力の流動性が高く、転職が一般化しているために、欠員が生じた場合に随時行う補充採用も一方で盛んである。
日本企業
通常3~5年程度のスパンを持つ長期要因計画の策定が行われている。計画の策定には、次のような2つの大きな要素がかかわってくる。
計画要因総数
要求要因総数
採用管理の手続き
欧米企業:欠員時に随時募集する「通年採用」が広く行われている。
日本企業:中途採用を極力行わす、新規学卒者を定期的に一括採用することが原則。
採用基準
欧米企業の場合、職務記述書と職務明細書に基づき、募集した職務を遂行できるか否かを担当能力やキャリア。
日本企業の場合、とくに新卒採用に関しては企業人として組織に適合できるか否かを問う「基礎的な資質」が重視される。
選考方法:書類審査、健康診断、学力試験、適正テスト、面接試験
採用管理の新たな動向
戦略中途採用の定着化
採用時期の分散化
複線的採用の指向
非正社員の正規戦力採用
採用管理のフロンティア
Ⅲ.人事異動管理
人事異動:従業員の配置転換・出向といった「ヨコの異動」と昇格・昇進といった「たての異動」を総合した概念であり、採用管理、退職管理などとともに雇用管理の一環をなすもの。
配置・異動の管理
配置・異動の実際
従業員を仕事につけるための正しい配置、「適正配置」:従業員がその保有する能力を十分に発揮できる適切な仕事に従業員を配置すること。
適正配置実現の前提。2種類の情報の整備が必要。
企業内のあらゆる仕事について職務調査を行い、職務遂行上どのような知識・技能・資質が求められるかを把握し整理した個別の「職務情報」。
従業員一人ひとりについて、人事評価を通じてどのような知識・技能・資質・性格を持っているかを把握し整理した個別の「人事情報」。
個人の希望を満たす配置・異動の制度
これまでの日本企業では、従業員の配置・異動は基本的に会社側の一方的な都合で決定され、従業員の意向はほとんど反映されていませんでした。しかし近年、人々の仕事や
労務管理特講 雇用管理
雇用管理の4つのサブシステム
Ⅰ.雇用管理とは何か
必要労働力、すなわち従業員の調達計画としての要因計画に基づき、従業員をその質と量という2つの基準で過不足のない適正な状態に維持するとともに、雇った従業員を適切な職務に配置することを役割とする人事労務管理の基幹的な職能のこと。
雇用管理を支持する4つのサブシステム。
採用管理
人事異動管理
退職管理
雇用調整
図1 雇用管理の体系
Ⅱ.採用管理
企業が必要とする労働力としての従業員を要因計画の基づき、新たに外部労働市場から調達する役割を担う。具体的には従業員の募集・選抜を主たる手続きとする。しかし採用活動を整合的に行うためには、企業が経済合理的に見て、過剰でも過少でもない適正な要員数(従業員数)を事前に確定しておく必要がある。これが「要因計画」であり、これを基礎として採用計画が策定され、実際の採用活動が動き出す。
要因計画
定義:一定の時期において一定の職務に配置する適格な従業員数を確保するための手続き。
欧米企業。
通常2~5年のスパンを持つ長期要因計画が策定され、これに基づき、実際の採用活動が行われる。戦略的...