1. 目的
コレクタ同調型発振回路とCR移相型発振回路の発振特性、コレクタ変調回路の振幅変調特性、ダイオードによる検波特性の実測を通じ、発振、振幅変調及び復調についての知識を深める。
2. 原理
2.1 発振
2.1.1 コレクタ同調型発振回路
この回路の発振原理を実験セットの回路に基づいて説明する。発振はエミッタ接地増幅器として働くトランジスタTr1、発振トランスT1、及びT1と同調回路を形成するコンデンサで行われる。トランジスタTr2、及びTr3はエミッタホロワでバッファとして働き、負荷によって発振回路の動作が影響を受けないようになっている。トランジスタTr1は、発振の初期において微弱な信号を増幅できるようにA級増幅として動作するが
発振が増大するにつれてB級へ、さらにC級へと移行し安定する。発振は次の過程で行われる。まず、電源を入れるとそのショックによって、Tr1にわずかなベース電流が流れ、これが増幅されてコレクタ電流としてT1の1次側を流れる。この電流によって、T1の2次巻き線に電圧が誘起され、これがTr1のベースに帰還される。発振トランスT1の1,2次巻き線は逆位相関係になるように巻いてあるので、Tr1のベースに帰還される信号は、最初ベースに流れた電流を大きくするように作用し、コレクタ電流はさらに大きくなって発振トランスを流れる。これが繰り返されて発振が継続する。
発振周波数 は、発振トランスの1次側インダクタンス とそれに並列に接続されたコンデンサ でほぼ決まり、次式で与えられる。
2.1.2 CR移相型発振器
CR発振回路はコンデンサ と抵抗 からなる帰還回路によって正帰還を行わせて発振させる。CR発振回路は能率が悪いという欠点があるが、周波数が安定でその変化範囲も広くコイルを用いていないので低周波では小型にできるなどの利点があるため、よく用いられている。
CR発振回路には、移相型とターマン型の2種類があるが、実験は回路構成が簡単な移相型について行う。移相型は帰還回路の構成により、ハイパス型とローパス型に分かれるが、トランジスタを増幅器として用いる場合はハイパス型の方が安定に動作する。
この回路の発振原理を以下に説明する。
トランジスタTr21はエミッタ接地の増幅器であり、入・出力電圧の位相が180°ずれるので、コレクタからの出力信号をCR回路で180°位相をずらしてベースに帰還してやればよいことになる。CRによる移相回路は、1段では90°以上移相できないので180°移相するには最低3段必要になる。
発振周波数 は、次式で与えられる。
実験装置では式(2)がおおむね満足され、安定に発振できる周波数範囲は大体500 ~300 である。そして、 , の値のばらつき、トランジスタの特性動作点のばらつきなどのため、実際の発振周波数は理論式からかなりずれることもある。トランジスタTr22はエミッタホロワで、LC発振回路のそれと同様の働きをする。
2.2 変調
2.2.1 振幅変調
一定の周波数を持った高周波の振幅を、ある信号波の振幅値にしたがって変化させることを振幅変調といい、前者の高周波の方を搬送波、変調によって得られた出力を被変調波という。
信号波を
搬送波を
とする。一般に搬送波の周波数は信号波の周波数より極めて高い。AMでは式(4)の搬送波の振幅 を式(3)の信号によって変化させるのであるから、被変調波は、
と表される。
ここで
は変調度と呼ばれている。式(5)を展開すれば、
となる。この式は被変調波 の周波数
1. 目的
コレクタ同調型発振回路とCR移相型発振回路の発振特性、コレクタ変調回路の振幅変調特性、ダイオードによる検波特性の実測を通じ、発振、振幅変調及び復調についての知識を深める。
2. 原理
2.1 発振
2.1.1 コレクタ同調型発振回路
この回路の発振原理を実験セットの回路に基づいて説明する。発振はエミッタ接地増幅器として働くトランジスタTr1、発振トランスT1、及びT1と同調回路を形成するコンデンサで行われる。トランジスタTr2、及びTr3はエミッタホロワでバッファとして働き、負荷によって発振回路の動作が影響を受けないようになっている。トランジスタTr1は、発振の初期において微弱な信号を増幅できるようにA級増幅として動作するが
発振が増大するにつれてB級へ、さらにC級へと移行し安定する。発振は次の過程で行われる。まず、電源を入れるとそのショックによって、Tr1にわずかなベース電流が流れ、これが増幅されてコレクタ電流としてT1の1次側を流れる。この電流によって、T1の2次巻き線に電圧が誘起され、これがTr1のベースに帰還される。発振トランスT1の1,2次巻き線は逆位相関係に...