テーマ 「優生思想と生命倫理との関係」-障害児の出生前診断-
日本では、出生前診断が障害児の早期発見・早期治療という理念から外れ、選択的人工中絶に結びついている傾向がある。こうした出生前診断をめぐる様々な問題を、倫理、優生思想、人工妊娠中絶に着目して考える。
「出生前診断出現の背景としては、疾病の早期発見・早期治療という医療の基本原則である。」「この原則は、障害児の治療教育において最も端的に当てはまるといえるだろう。」(文献2.p25)
出生前診断の目的としては、①胎児治療のための情報採取。②胎児の状態に適した分娩方法を選択したり、出産後のケアの準備をする。③妊娠を継続するか否か判断する(これが後の問題提起につながる)。の3つに要約できる。検査の方法としては、超音波検査・羊水検査・絨毛診断・母体のトリプルマーカーテストなどがあり、それぞれに検査方法や検査時期が違い、障害の有無などの情報が得られる。また、流産などの危険性があるものもある。(文献1.p19)
次に、人工妊娠中絶について簡単に述べる。人工中絶の規定に関しては、1948年の「優生保護法」制定からはじまる。優生保護法...