悪性腫瘍について
1.はじめに
異常な細胞が過剰に増生してできる組織の塊(腫瘍)のうち、浸潤や転移を起こして無限に増殖し、周囲の組織から栄養を奪ったり毒性物質を分泌したりして悪液質を引き起こし、ついには個体の死をもたらすもののことを悪性腫瘍と呼ぶ。上皮性組織から生じる癌腫と非上皮性組織から生じる肉腫に大別されるが、癌腫の方が圧倒的に頻度が高いため悪性腫瘍一般を「がん」と称することが多い。
異常細胞は日々の新陳代謝の中で数多く発生するが、通常は免疫系の細胞がそれらを壊したり、遺伝子を修復するしくみがフォローしたりするなどして増殖を抑えている。ところが、免疫力が低下する、または免疫力の限界を超えた頻度で異常細胞が生まれ続ける等の要因があると腫瘍となるのである。
2.悪性腫瘍発生の要因と疫学的動向
まず、加齢にしたがって免疫力も低下するため、高齢者になるほど悪性腫瘍を発症しやすくなる。老化現象は誰にでも訪れるものであるが、その速度は生活習慣によって遅らせることが可能であるといわれている。「年だから」と諦めるのではなく、若い頃から健康に良い生活習慣を身に付けることが大切である。
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