不真正不作為犯とは不作為によって作為犯と同じ結果をもたらすことを言う。例えば、刑法199条の殺人罪において、「人殺した者は」という構成要件が作為の形式で規定されているが、母親が殺意をもって、自分の嬰児に授乳せず餓死させた場合が不真正不作為犯に当たる。このように構成要件が作為の形式で規定されている場合に、不作為が当該犯罪の実行行為を犯罪とみなすことができる。しかし、不真正不作為犯の場合は、要求される不作為が構成要件上、明らかにされてないので、これを安易に認めると類推解釈の禁止に反し、罪刑法定主義の原則に反するのではないかという問題がある。
不真正不作為犯が実行行為として認められるためには、法益侵...