『NPOと行政との協働における諸課題とより良い関係構築の検討』
はじめに
近年、福祉やまちづくり、環境問題など様々な分野において「協働」という言葉が使われるようになり、地域社会を考えていく上で一つの重要なキーワードになっている。しかし「協働」という言葉はあいまいなもので、その定義やルールは各NPO・各行政がそれぞれ持っており、共通の認識を確立しえない状況でもある。
また、NPOと行政との協働では「事業委託」がよく取り上げられ、行政協力型の下請けの器としてNPOを活用しているといった指摘もある。本稿では「協働」の定義や方法について考察し、NPOと行政との協働における課題や留意点を踏まえたうえで、双方にとってよりよい協働のあり方を検討する。
平成21年7月11日
NPO論
『NPOと行政との協働における諸課題とより良い関係構築の検討』
はじめに
近年、福祉やまちづくり、環境問題など様々な分野において「協働」という言葉が使われるようになり、地域社会を考えていく上で一つの重要なキーワードになっている。しかし「協働」という言葉はあいまいなもので、その定義やルールは各NPO・各行政がそれぞれ持っており、共通の認識を確立しえない状況でもある。
また、NPOと行政との協働では「事業委託」がよく取り上げられ、行政協力型の下請けの器としてNPOを活用しているといった指摘もある。本稿では「協働」の定義や方法について考察し、NPOと行政との協働における課題や留意点を踏まえたうえで、双方にとってよりよい協働のあり方を検討する。
(1)NPOと行政との「協働」における変容とその定義
NPO法制定(1998)以前から、地域住民と行政との「協働」は一つの大きなテーマであった。NPOと行政との協働を考える前に、地域住民と行政との協働の定義や、市民協働条例の原則などを簡単に踏まえておきたい。
荒木[1990]によれば、協働とは「地域住民と自治体職員とが...