盗聴法について
操作方法としての盗聴の方法は数多くあるが、その盗聴を操作方法に取り入れることのできる根拠法として、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(以下通信傍受法と書く)」が存在する。
ここで明らかにしておくが、私はこの通信傍受法には断固反対である。そして、この理由については後述する。この通信傍受法を基に、まずは盗聴の方法にどのようなものがあるかを書いていきたいと思う。
具体的な例を挙げると電話盗聴、他人の家の壁際、軒下等に潜んで盗み聞く盗聴、盗聴器を使って室内の会話を盗み聞く盗聴、そして、ファックスや電子メール等も盗聴の対象となる。ファックスや電子メール等は、通話のような声を盗聴するわけではないが、さきほどあげた「通信傍受法」でいう通信傍受の対象となる。
さて、ここで具体的な例について、いくつかの問題点が出てくると思う。
第一の問題点は、「操作」という裏づけがあるものの、憲法13条で保障している我々国民のプライパシーの権利、そして憲法21条に掲げる通信の秘密を侵害していることである。これはとても重大な問題であると思う。何が問題かというと、全ての法律の根幹にある憲法が、その下にある法律によって、制限されてしまうことである。たとえば、刑事訴訟法213条の「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」という条文の根拠は、憲法33条の「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては(以下略)」というところからきている。もし、憲法33条に現行犯の記述が無ければ、たとえ現行犯であっても、令状を獲得しない限り現行犯逮捕ができない、ということになる。このように憲法は全ての法律の根拠、根幹となる法律であるので、それがひとつの憲法下にある法律によって制限されるというのは許されることではないと私は考える。確かに、一般市民が盗聴するのではなく、操作機関が通信傍受法第3条1項で記述されているように、犯罪を疑うに足りる「十分な理由」を満たした上で、行うものであるから、プライパシーの権利は侵していないかもしれないし、通信の秘密も守られるのかもしれない。だが、重要な「通信傍受を行うのに十分な理由」の判断基準を公式に定めた根拠条文は存在しないので、結局は操作機関が悪用しない保証はどこにも見つけられないし、通信傍受した情報を悪意のある第三者に、盗聴器で盗まれるようなことがあれば、それこそ大問題となる。現在、日本は急速にIT化が進んでいるので、よりいっそう第三者に通信を傍受されにくい機器も数々生まれてくるとは思うが、一方でそのIT化が犯罪の高度化を促進することになる、という揺ぎ無い事実も忘れてはならない。これらの理由から、やはり捜査方法としての盗聴には、断固反対である。
そして、もう第二の問題点は、通信傍受の対象が通話だけでなく、通信方法、つまりファックスや電子メールにまで及ぶということである。中でも電子メールの盗聴は最近特に話題になっている。なぜ、話題になるかというと、電子メールの通信傍受は簡単に行うことができるからだ。たとえば、メールの中継サーバの管理者であれば、見ようといつでもメールの中身を見ることができる。またLAN上を流れるメールのパケットをキャプチャする機能さえ持っていれば誰のメールでも覗くことは可能となる。このことから分かるのは、操作機関の人間の倫理性が著しく問われるということである。なぜかというと、たとえば、犯人逮捕のために必要な「正当な理由」により、捜査令状をもって電子メールの閲覧を行ったとする。そして、目的のファイルをクリックして開くと、
盗聴法について
操作方法としての盗聴の方法は数多くあるが、その盗聴を操作方法に取り入れることのできる根拠法として、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(以下通信傍受法と書く)」が存在する。
ここで明らかにしておくが、私はこの通信傍受法には断固反対である。そして、この理由については後述する。この通信傍受法を基に、まずは盗聴の方法にどのようなものがあるかを書いていきたいと思う。
具体的な例を挙げると電話盗聴、他人の家の壁際、軒下等に潜んで盗み聞く盗聴、盗聴器を使って室内の会話を盗み聞く盗聴、そして、ファックスや電子メール等も盗聴の対象となる。ファックスや電子メール等は、通話のような声を盗聴するわけではないが、さきほどあげた「通信傍受法」でいう通信傍受の対象となる。
さて、ここで具体的な例について、いくつかの問題点が出てくると思う。
第一の問題点は、「操作」という裏づけがあるものの、憲法13条で保障している我々国民のプライパシーの権利、そして憲法21条に掲げる通信の秘密を侵害していることである。これはとても重大な問題であると思う。何が問題かというと、全ての法律の根幹にある憲法が、その下にあ...