☆中国の歴史は一面では北方民族と漢民族との闘いの歴史でもあった。北方民族の活動を軸に、両民族が政治・社会・文化のうえでどのように影響しあったかについて、具体的な事例をふまえて述べなさい。
中国の歴史には、遊牧、もしくは狩猟採集を主たる生業とし、万里の長城以北を主要な居住領域とした北方民族と、農耕を主な生業とする漢民族の間で展開された抗争が多く存在する。古くは匈奴から、鮮卑、羯、氐、羌など五胡といわれた諸民族、その後の突厥や契丹、蒙古から満州族にいたるまで、漢民族との抗争は枚挙にいとまがない。
B5・400字換算で約7~8ページ
中国の歴史は一面では北方民族と漢民族との闘いの歴史でもあった。北方民族の活動を軸に、両民族が政治・社会・文化のうえでどのように影響しあったかについて、具体的な事例をふまえて述べなさい。
中国の歴史には、遊牧、もしくは狩猟採集を主たる生業とし、万里の長城以北を主要な居住領域とした北方民族と、農耕を主な生業とする漢民族の間で展開された抗争が多く存在する。古くは匈奴から、鮮卑、羯、氐、羌など五胡といわれた諸民族、その後の突厥や契丹、蒙古から満州族にいたるまで、漢民族との抗争は枚挙にいとまがない。
■匈奴と漢民族の抗争
史上初めて一大勢力に成長したのは匈奴である。中国の史書に姿を現すのは紀元前3世紀の半ばごろ、戦国時代の終わりである。それ以前からも華北地方に定住をしていたと考えられるが、記録には残っていない。分裂していた中国の各国は北からの侵入に備えるために防壁を作っていた。
やがて秦が中国を統一すると、始皇帝は扶蘇、蒙恬に命じて匈奴を北方に駆逐してオルドスの地を回復し、戦国時代に各国が匈奴防衛のためにつくった防壁を連結延長して、遼東から臨トウにいたる一大長城を構築した。この長城の威容か...