教育原論
1 ソクラテス的対話(産婆術)について述べ、ソクラテスの教育学的意義について考察せよ。 5月午前
ソクラテスは対話することが知への道であり、もっとも有効な教育方法であると考えた。ソクラテスの対話術は、一般に産婆術と呼ばれている。産婆術とはすなわち、産婆が妊婦に子を産むのを手助
教育原論
1 ソクラテス的対話(産婆術)について述べ、ソクラテスの教育学的意義について考察せよ。 5月午前
ソクラテスは対話することが知への道であり、もっとも有効な教育方法であると考えた。ソクラテスの対話術は、一般に産婆術と呼ばれている。産婆術とはすなわち、産婆が妊婦に子を産むのを手助けするのと同様に、教師の役割は学習者自身が真の知を産み出すのを手助けすることに他ならないということである。知の創造を出産にたとえて、学習者は知の生産者、教師は産婆役に位置づけられている。
この対話の概要は以下のとおりである。まず相手に徳に関する質問をして、相手の意見を聞く。そして相手の立場を否定せず、その立場から様々なことを説明させる。説明を繰り返させるうちに、相手の意見の矛盾が明るみに出る。相手の立場に誤りがあることを認めさせ、その無知を自覚させる。これは陣痛に相当する。そして混乱した相手は真の知を求める。そこで教師は真の知を相手が生み出すように対話をリードする。これは助産に相当する。
次にソクラテスの教育学的意義について述べたい。ソクラテスにとって知識とは、それを持つ者から持たない者へ手渡しされ...