まず、適応の心理的機制とそれらから引き起こされる特徴的行動について説明する。
1.抑圧
心的エネルギーをそのまま発散させると、不安や破局を起こす恐れがある時、自我
「適応・不適応の心理的機制、またそれらからひき起こされる特徴的行動について説明せよ」
まず、適応の心理的機制とそれらから引き起こされる特徴的行動について説明する。
1.抑圧
心的エネルギーをそのまま発散させると、不安や破局を起こす恐れがある時、自我がそのような不安や破局を起こしそうな衝動やそれに結びついた観念や感情を無意識の中に押し込める働きをいう。例えば、フロイトの研究では、患者は姉の遺体を前に義兄と2人きりになった時に、「これで義兄の奥さんになれる」という空想をし、その瞬間にこの道徳的に耐え難い観念を意識から追い払い、義兄と結婚したいという願望と、それらに対する罪悪感を「抑圧」していたことが明らかになった。彼女のヒステリー症状(下肢の痛み、失立、失歩)は抑圧された心的興奮が運動系、知覚系を通して身体的なものに転換されたもので、義兄に「介抱されたい、支えられたい」という無意識的な願望と罪悪感からの逃避、自己処罰とを同時に象徴していたものと考えられる。
2.合理化
自己の劣弱を認めると不安や破局に陥るような時に、責任を他人に転嫁したり、正当化するような理由付けを行って自分を守ろう...