「中学・高校における生徒指導の原理は何か、また、その際に留意しなければならないことは何か、説明せよ。」
生徒指導とは、「生徒指導の手びき」に示されているとおり、児童・生徒の人格を尊重しつつ、個々人の個性の伸長を最大限にはかり、総合的な人間形成をめざした教育活動といえる。つまり、一人ひとりの生徒の置かれている環境や社会的諸条件に即して、これに主体的に対応し、集団での人間関係の改善や協調性の向上を図り、自己指導能力や自己教育力を高めて自己実現が可能となるような資質と態度を育てる教育的な指導・援助である。そのため、生徒指導は、教科指導とともに教育における大きな機能をなしているのである。
また、生徒指導の基礎となる人間観について、「人間の尊厳という考え方に基づき、ひとりひとりの生徒を常に自分自身として扱うことを基本とする。これは、内在的な価値をもった個々の生徒の自己実現を助ける過程であり、人間性の最上の発達を目的とするものである。」と述べられており、生徒指導の原理として次の4点をあげている。
欲求や情緒を直接的に行動につなげる自発性、目的に沿って行動を規制し節度あるものにする自律性、人間関係において相互に権利の主張と義務の遂行を可能にする自主性の3点の促進を目的とした「自己指導の助成のための方法原理」
学級や友人関係といった集団における相互作用の尊重や、集団の力の利用、人間尊重・友愛と自由の尊重、規律の維持を含む「集団指導の方法原理」
特に問題解決能力を育成する援助の重要性があげられ、生徒の人格のより良い発達のためには主観的資料だけでなく、客観的資料の利用も必要な「援助・指導の仕方に関する原理」
生徒指導は全生徒を対象とし、学校生活の全領域に関するものであるため、全教師の参加と専門職分化の必要性があげられる「組織・運営の原理」
教育における最も大きな目標は、子ども一人ひとりの人格の完成にあるといえる。学校においても、めざすべき目標の達成に向けて、すべての教育活動が有機的に働くべきである。生徒指導もその教育目標を達成するために機能する、ひとつの教育活動だといえる。また、生徒指導は特定の場面だけで機能するものではなく、学校のすべての場面において機能する教育活動である。そのため、学校内部における指導の組織化はもちろん、家庭や地域社会とも密接に連携を保ち、子どもの発達を最大限に支援できるようにすることが大切なのである。
また、1998年に教育課程審議会答申において「総合的な学習の時間」の設置が提言されたが、このねらいとして新しい学習指導要領には「自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること」、「学び方やものの考え方を身につけ、問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるようにすること」の2点があげられている。
その実践例としては、国際理解に関する活動、環境に関する活動、福祉に関する活動、健康に関する活動など、様々なものがあるが、例えば生徒の興味・関心に基づく課題からの実践としてまずは、生徒にどのような課題・活動に取り組みたいかを発表させ、生徒と教師との協議を通して、学級としての共通課題を決定し、学級で分担・協力して追求する。学級での共通的統一課題を分割し、分割課題をグループごとに探求し、全体との調整を図りつつ、最終的に学級(学年)としてまとめ発表を行う。
これは、生徒指導の原理①、②に当てはまるのではないだろうか。どのような課題に取り組みたいか自発的に発表し
「中学・高校における生徒指導の原理は何か、また、その際に留意しなければならないことは何か、説明せよ。」
生徒指導とは、「生徒指導の手びき」に示されているとおり、児童・生徒の人格を尊重しつつ、個々人の個性の伸長を最大限にはかり、総合的な人間形成をめざした教育活動といえる。つまり、一人ひとりの生徒の置かれている環境や社会的諸条件に即して、これに主体的に対応し、集団での人間関係の改善や協調性の向上を図り、自己指導能力や自己教育力を高めて自己実現が可能となるような資質と態度を育てる教育的な指導・援助である。そのため、生徒指導は、教科指導とともに教育における大きな機能をなしているのである。
また、生徒指導の基礎となる人間観について、「人間の尊厳という考え方に基づき、ひとりひとりの生徒を常に自分自身として扱うことを基本とする。これは、内在的な価値をもった個々の生徒の自己実現を助ける過程であり、人間性の最上の発達を目的とするものである。」と述べられており、生徒指導の原理として次の4点をあげている。
欲求や情緒を直接的に行動につなげる自発性、目的に沿って行動を規制し節度あるものにする自律性、人間...