現代の障害者福祉の基本理念は1959年にデンマークで制定された「知的障害者法」において、この法案作成に携わったバンク・ミケルセンが「知的障害者のために可能な限りノーマルな生活状態に近い生活を創造する」というノーマライゼーションの理念を位置付けたことがその起点となっている。
ノーマライゼーションの理念については様々な表現があるが「障害のある者も障害がない者と同等に生活し活動する社会を目指す理念であり、そのために生活条件や環境条件の整備を行い、他の市民に与えられているのと同じ条件を提供すること」と理解されている。
国連が示すノーマライゼーションの理念を踏まえた障害者観とは「障害者は、その社会の他の異なったニーズをもつ特別な集団と考えられるべきではなく、その通常の人間的なニーズを満たすのに特別の困難をもつ普通の市民と考えられるべきなのである」とされ、このような理解が今日の障害者観の到達点とされている。この定義は、障害者の立場およびその視点に立ち施策を策定し、その環境を構築していくうえで最も重要であるという視点を示していると思われる。この定義から考察できることは、同じ社会環境の中で生活する人間...