近世教育及び近代教育、また今日の教育に大きな影響を与えたのは西洋の教育家ソクラテス、ルソー、ペスタロッチである。西洋教育史の中で、この3人は欠く事の出来ない人物である。それでは、教育思想の特長について各教育家別に述べる。
まず、ソクラテスの教育思想について述べる。ソクラテスは紀元前469年にアテナイの彫刻家と助産婦の間に生まれた。著作は生涯を通してなく、プラトンやクセノフォーンらの著作によって生涯と思想を知りうるのみである。ソクラテスの教育の目的は、俗見を洗い流し、青年の内面から知恵と徳を発芽させることにあった。教師としてのソクラテスは、アテナイの市民に無知を自覚させ、有徳の市民にすることに奮闘した。
ソクラテスの教育思想として代表的なものに、対話(問答法)がある。この方法を使いて、対話の相手に無知を自覚させるのである。ここで重要なのはソクラテス自身では何一つ結論・答えを教えていない点である。相手の自己衝動を刺激し、あくまでも自ら獲得させようとする意図がそこにある。「汝自身を知れ」という彼の格言が示すように、いかに若者自身において真理に到達させるか、あるいは発見させるかということに重き...