「健康」と一言で言われて、おそらく多くの人は「病気や怪我をしておらず、生きていくうえで障害がない状態」を思い浮かべるであろう。私自身、そう考えていた一人である。しかし、世界保健機構(WHO)でも健康について「単に疾患が無いというだけではなく、身体的にも、心理的・社会的にも良好な状態にあること。」と定義しているように、身体的健康と精神的健康の両者がそろって初めて健康であるといえるのである。これから私はこの二つのうちの精神的健康について書いていこうと思う。
おそらく、ほとんどの人が何か悩みを抱えて生きており、自分は身体的にも精神的にも100%健康であると断言できる人はいないに近いであろう。しかしそれは人として生きていくうえで当然のことであり、100%健康である必要は無いと私は思う。問題は健康であるということではなく、健康的な生活を送るために何が出来るか考え、その方法を実現させようと努力することなのである。
様々な精神的疾患も背景にある文化的、社会的状況により、発生頻度や状態が変化するのだから、良好な精神状態を保つためには、個人を取り巻く家庭環境や社会的状態が大きな影響を及ぼしているこ...