個別援助技術の展開過程について

閲覧数6,548
ダウンロード数12
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    個別援助技術の展開過程について
    1・ケースワークの概要
    ケースワーク(個別援助技術)は、心理的・社会的な生活課題を抱えている個人や家族に対して、その課題を解決するために個別的に援助する技術である。ケースワークは、クライエントとケースワーカーとの専門的で信頼的な人間関係のうえに成立する。
    2・個別援助技術の展開過程
     個別援助技術は、その成立以来、専門性を求め、それを利用者と援助者の知識と技法が駆使される援助の展開過程の中に見出そうとしてきた。これまで、わが国においては、一般的に診断主義の立場を取り入れながら、援助の展開過程は,①受理(インテーク)、②調査(ケース・スタディ)、③社会診断、④社会治療という区分で紹介されてきた。また、ほかに機能主義のようなワーカーとクライエントとの関係の活動に重点をおいて、①初期の局面、②中期の局面、③終結の局面という時間的経過による区分もある。しかし、近年は生活モデルの視点から、個人の問題解決能力と取り巻く環境を重視した、より拡大された援助展開がみられるようになってきた。ここでは、個別援助技術の過程を(1)援助の開始期、(2)援助の展開期、(3)援助の終結期と区分し、記述する。
    (1)援助の開始期
    ①インテーク(受理)
     利用者がはじめて施設・機関を訪れたとき、そこに所属する援助者が施設・機関の責任において問題を取り上げるかどうかを検討する段階である。また、インテークでは、利用者の緊張や不安をやわらげると同時に、次のような目的をもって初めての面接(受理面接)が行われる。(A)利用者の主訴を傾聴し、要求を明確にする。(B)援助者の所属機関の機能と、利用者の要求とを照らし説明する。(C)利用者の要求と機関の機能との関わりを具体的に検討し、この機関で援助を受けるという利用者の意志を確認する。
    インテーク段階での留意点  問題は利用者本人が持ち込む場合と、本人以外の他人が持ち込む場合があるが、問題解決の主役は利用者本人である。他人が相談を持ち込んだときは、本人に問題解決の意思を形成させることも課題となる。インテーク面接では、利用者の話を傾聴し、共感的理解が必要となる。ワーカーは、利用者の心の動きに敏感になること、利用者が自分は尊重されているのだと実感できるような心づかいを忘れてはいけない。こうしたワーカーの態度に支えられ、利用者は安心して鬱積していた思いを打ち明けることができ、信頼関係も樹立されていく。
    ②アセスメント
     アセスメントは、問題解決に対する援助を始めるにあたっての事前評価である。利用者が持ってきた問題について、個人や家族への面接・家庭訪問・他の専門家や他の機関などからの情報収集と分析を通して、問題を認識し援助の方向性を明確にする過程である。その特徴としては、強さや健全な側面に重点をかけた事前評価となっているところである。
    ③プランニング
    アセスメントにおいて収集できた情報を基礎にして、利用者とともに援助の具体的方法を考え、当面の目標と実施計画を立案していく事である。援助者はこのアセスメントやプランニングを行う場合、利用者への参加の促しや問題解決の援助過程のなかでは何度でも繰返して行うことが必要であり、展開過程の中核を担う局面である。プランニングにおいての注意点は、利用者及び援助者にとっても実現可能な計画、本人に適切な計画を立てる事である。極端に高い水準の計画や広範多伎にわたる計画は、ストレスになり、失敗の可能性も高く、失敗した場合には大きな敗北感と挫折感を味わう可能性があるからである。
     また、計画はあくまで

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    個別援助技術の展開過程について
    1・ケースワークの概要
    ケースワーク(個別援助技術)は、心理的・社会的な生活課題を抱えている個人や家族に対して、その課題を解決するために個別的に援助する技術である。ケースワークは、クライエントとケースワーカーとの専門的で信頼的な人間関係のうえに成立する。
    2・個別援助技術の展開過程
     個別援助技術は、その成立以来、専門性を求め、それを利用者と援助者の知識と技法が駆使される援助の展開過程の中に見出そうとしてきた。これまで、わが国においては、一般的に診断主義の立場を取り入れながら、援助の展開過程は,①受理(インテーク)、②調査(ケース・スタディ)、③社会診断、④社会治療という区分で紹介されてきた。また、ほかに機能主義のようなワーカーとクライエントとの関係の活動に重点をおいて、①初期の局面、②中期の局面、③終結の局面という時間的経過による区分もある。しかし、近年は生活モデルの視点から、個人の問題解決能力と取り巻く環境を重視した、より拡大された援助展開がみられるようになってきた。ここでは、個別援助技術の過程を(1)援助の開始期、(2)援助の展開期、(3)援助の終...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。