少子化対策の動向について

閲覧数7,505
ダウンロード数51
履歴確認

    • ページ数 : 8ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    日本において、政府が「少子化」を問題として認識し、対策に取り組み始めたのは、1990年の「1.57ショック」を契機として、子育てと仕事の両支援等、子供を生み育てやすい環境づくりに向けての対策の検討が行われ始めた。最初の具体的な計画が、1994年策定の「エンゼルプラン」であり、これを実施するため、「緊急保育事業5か年計画」が策定され、保育サービスの充実が図られることとなった。更に、1999年には、「少子化対策推進基本方針」に基づきエンゼルプランが見直され、保育サービスだけでなく、雇用・母子保健・相談・教育等の事業も加わった「新エンゼルプラン」が策定された。
     2002年に「少子化対策プラスワン」が取りまとめられ、これまでの取り組みが、仕事と子育ての両支援の観点から保育に関する施策を中心にしたものであったのに対し、「男性を含めた働き方の見直し」や「地域における子育て支援」等も含めて、社会全体が一体となって総合的な取り組みを進めていこうと提言するものであった。また、2003年には、少子化対策プラスワンを踏まえて、「次世代育成支援に関する当面の取組方針」が決定された。この方針では、家庭や地域の子育て力の低下に対応して、次世代を担う子供を育成する家庭を社会全体で支援(次世代育成支援)することにより、子供が心身ともに健やかに育つための環境を整備することを掲げた。更に、地方公共団体及び企業における10年間の集中的・計画的な取り組みを促進するために、行動計画を策定・実施すること等を定めた「次世代育成支援対策推進法」が制定された。なお、行動計画に関する規定は、2005年4月より施行されている。
    2003年7月には「少子化社会対策基本法」が成立し、同法では、急速な少子化の進展が21世紀の国民生活に深刻かつ多大な影響をもたらすものであり、少子化の進展に歯止めをかけることが求められているとの認識に立ち、少子化社会において講ぜられる施策の基本理念を明らかにするとともに、少子化に的確に対処するための施策を総合的に推進することを目的としたものであった。2004年6月には、少子化社会対策基本法に基づき、少子化に対処するための施策の方針として、「少子化社会対策大綱」が策定され、3つの視点と4つの重点課題のもとに、28の具体的な行動を掲げた。
    (3つの視点)
    ①自立への希望と力②不安と障壁の除去③子育ての新たな支え合いと連帯
    (4つの重点課題)
    ①若者と自立とたくましい子どもの育ち②仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し③生命の大切さ、家庭の役割等についての理解④子育ての新たな支え合いと連帯
     2004年度は、エンゼルプランの最終年度であり、保育サービスを中心に計画的な整備が進められ、2001年度からは「待機児童ゼロ作戦」の推進も加わり、当初の計画目標は多くの事業でほぼ達成された。しかしながら、肝心の少子化の進展には歯止めがかからなかった。(1994年:合計特殊出産率1.50、2004年:同1.29)その背景として、1)子育て期にある30歳代男性の長時間労働により、依然として子育ての負担が女性に集中している。2)育児休業制度などの子育て支援のための制度が十分に活用されていない。3)無職や雇用不安定な若者の増加により、若者が社会的に自立し、家庭を築き、子どもを生み育てることが難しい社会経済状況となっている。等が挙げられ、これまでの対策では、少子化の流れを変えるのには不十分であり、国民が子ども生み育てやすい環境整備が進んだという実感を持つに乏しいことを意味している結果でもあると考えられる

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    日本において、政府が「少子化」を問題として認識し、対策に取り組み始めたのは、1990年の「1.57ショック」を契機として、子育てと仕事の両支援等、子供を生み育てやすい環境づくりに向けての対策の検討が行われ始めた。最初の具体的な計画が、1994年策定の「エンゼルプラン」であり、これを実施するため、「緊急保育事業5か年計画」が策定され、保育サービスの充実が図られることとなった。更に、1999年には、「少子化対策推進基本方針」に基づきエンゼルプランが見直され、保育サービスだけでなく、雇用・母子保健・相談・教育等の事業も加わった「新エンゼルプラン」が策定された。
     2002年に「少子化対策プラスワン」が取りまとめられ、これまでの取り組みが、仕事と子育ての両支援の観点から保育に関する施策を中心にしたものであったのに対し、「男性を含めた働き方の見直し」や「地域における子育て支援」等も含めて、社会全体が一体となって総合的な取り組みを進めていこうと提言するものであった。また、2003年には、少子化対策プラスワンを踏まえて、「次世代育成支援に関する当面の取組方針」が決定された。この方針では、家庭や地域の...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。