グループホームは、住宅と施設双方の課題を乗り越える可能性を秘めたケアの形として登場した。住みなれた自宅ではないけれど、家庭的な雰囲気のなかで時間がゆったりと流れ、専門のスタッフにさりげなく見守られながら、一人ひとりがその人らしい生活のスペースを再構築していく。そんな場が求められてきた。その結果、痴呆症自体は治癒するわけではないが、その進行を遅らせたり、随伴症状が著しく改善された状態で暮らしを続けられるようになる。さらに、「もう一つの家」であるグループホームがあることによって、家族との程良い距離が確保できるようになり、お互いがもう一度出会い直すことも可能になる。厳密な意味では住宅ではないが、往...